顧客満足度の測り方

先週は顧客分析が求められる背景を紹介しました。

custle.hatenablog.com


今回は先週の続きで、顧客分析においてよく出てくる顧客満足度について考えてみたいと思います。


顧客満足度とは


顧客満足とは、顧客の期待を超えることとよく言われます。


リッツカールトンや星野リゾートなどの事例は有名で色んなところで見かけますね。


ただ顧客の期待を超えようとして行ったサービス等が、本当に顧客の満足につながったのか、単なるおせっかいに過ぎなかったのかを判断するのは難しいことです。


常に顧客からフィードバックをもらえるとは限りませんし、もし感謝や満足の言葉をもらったとしてもひょっとしたらそれは社交辞令で本心は違ったりするのかもしれません。


さらにその感謝や満足の言葉が顧客の本心からのものだったとしても、収益面では特に効果がなかったのであれば果たしてその取り組みは成功といって良いのかどうかも悩ましいところです。


前回紹介したバランススコアカードで言えば、顧客志向指標を重視するあまり、顧客収益指標が変わらなかった(むしろコストが余計にかかってしまっただけだった)というようなケースも実はたくさんありそうです。


よって様々な事例が本当に成功事例なのかどうか実際のところは収益指標が見えないとわかりません。そのため公開事例に感銘を受けて真似しようとしても失敗してしまう可能性もあります。おそらくそのような失敗事例も世の中に知られることなく陰で数多く埋もれていることでしょう。


できれば真似する前にかけたコストに対してどれだけのリターンが上がるかなどの顧客収益指標をきちんと見積もった上で取り入れるかどうかを考えたいところですね。


とはいえ、顧客収益指標はサービスを提供したそのときのリターンだけでなく将来的なリターンや口コミ等による他の顧客への影響なども考慮が必要かもしれません。そうしたリターンの定義や範囲をどう決めるのか悩ましい上に、実際にやってみないと測れない類のものなので、見積もるのも簡単ではありません。


ただ成功企業では従業員に顧客サービスのためにxxx円まで使ってもよいといった形で基準となる予算内であれば個々の裁量に任せているところもあるようなので、見積もりの難しいリターンよりもコスト管理の方をしっかりすることで、収益指標に大きくマイナスの影響を与えないようにしているといったこともあるのかもしれません。


アンケートによる顧客満足度の計測


顧客満足度、特に顧客志向指標の計測方法で代表的なものは顧客へのアンケート調査です。


商品やサービス等に対する満足度を聞かれたアンケートに答えたことがある人も多いのではないでしょうか?


大変満足した/やや満足した/普通/やや不満だった/不満だった


といったような5段階評価のアンケートで、「大変満足した、あるいはやや満足したと回答した人が80%おり、高い満足度を得られることができました」といった内容のレポートを見たことがある人もいるかもしれません。


ところでみなさんは上記の回答でどれにチェックをつけるか悩んだことはないでしょうか?


特に可もなく不可もなくといった場合だと「やや満足」と「普通」で回答が割れる気がしませんか?


こうしたアンケートではなかなか明確な基準を設けるのは難しいものです。


人によって「やや満足」と「普通」の感覚が異なるかもしれないので、アンケートを集計しても正しく顧客全体の満足度を反映したものになっているとは限りません。


さらに満足したかどうかといった言葉ならまだしも、10点満点で何点でしたか?といったような聞き方だと、それこそ7点の基準と8点の基準が万人で全くそろうということはないでしょう。


選択肢にしても5段階、3段階、10段階とアンケートごとに満足度の聞き方がバラバラだと、複数のアンケートを比較したり時系列的な推移を測ることも難しくなります。


ところでそもそもこうしたアンケートで聞いた顧客の満足度が高いことがその企業にとって良いことなのでしょうか。


上記でも書きましたが、顧客志向が高いことがイコール顧客収益も高いとは限りません。例えば、満足度が高いと回答したからといって、継続して顧客になってくれるかどうかはわかりません。競合製品と比較検討するなどじっくり考えて回答した人もいれば、なんとなく感覚で回答したという人もいるかもしれません。満足度という言葉自体が人によってその意味するところや範囲なども様々です。収益性指標との関連性は不明です。


しかし昔ながらの方法であるということや他にやり方がないということで今もこうした満足度調査を継続しているところは多いと思います。


NPS(ネットプロモータースコア)による顧客満足度の計測


マーケティング界隈では数年前くらいから、NPS(ネットプロモータースコア)という指標に注目が集まってきています。


これは簡単にいうと、顧客に対象の商品やサービス等に満足したかどうかではなく、知り合いに勧められるかどうかを聞いたものになります。


勧められるかどうかを11段階で回答してもらい、強く勧める(9~10点)と回答した人の割合から、あまり勧められない(0~6点)と回答した人の割合を引いた値で算出します。


このNPSは事業の業績や成長率などと相関が高いそうです。つまりNPSを上げることは業績アップにつながり、投資対効果が見込まれるということで上層部やスポンサーの理解を得やすいということでもあります。


バランススコアカードでいう顧客志向指標でもあり顧客収益性指標でもあるという、一つで二つの役割を担う便利な指標ということですね。


ただ事業の売上や収益との相関が果てしてどのようなケースでも当てはまるのだろうかは気になります。また点数のつけ方も定義が統一されていたりある程度はっきりした回答しか使用しない点は客観性が高いものの、やはり個人の感覚による判断は完全に除外されているわけではないのは気になるところです。


それでも現在のネット社会ではSNS等による情報の拡散性の影響は非常に強いのでこうした指標は効果の面で期待は持てそうです。実際の活用事例や効果が色々なところで叫ばれるようになってくると今後広がってくる可能性は十分あるでしょう。


顧客満足度という言葉にとらわれ過ぎない


元々は企業の売上や利益を上げたい、そのためには顧客の視点でいうと、顧客数や顧客単価を増やしたりコストを削減することが重要です。


しかしどうすればそれが実現できるのか?


顧客満足度が高くなれば、コストをかけなくても顧客数や単価も上がるだろう、それに満足度を上げるためのアクションも思いつきやすいということで、顧客満足度を重視する流れになったと思われます。


顧客満足度が高いと、顧客は離反しにくくなります。次回もまた購入してくれる可能性も高いです。新規客や競合客に比べて宣伝や販促コストもそれほどかかりません。


顧客満足度を向上することは間違いではありませんが、重要なのはそのためのアクションが本来の目的である顧客収益指標に結びついているかどうかです。


顧客収益指標ではなく、顧客満足度が目的であると現場に勘違いさせてしまうと、リターンとコストに対する意識が希薄になって収益指標を低下させかねなくなります。


さらに顧客満足度という言葉も具体性に欠いた言葉なので、そのまま現場に伝えても現場側も自らの思い込みで行動してしまい、結果顧客にとって余計なお節介で本来の満足度はむしろ下がったなんてことも起こりかねません。


よって顧客満足度はそのまま指標として扱うのではなく、収益指標に効果があり具体的に定義したものに言い換える必要があります。


とはいってもどうやって定義すれば良いのかも悩ましいですよね。


なかなかこれといった正解があるというわけでもなく、事業やサービス、ビジネス形態などによっても異なってくるでしょう。それにひとつではなく、複数の指標になるかもしれません。


一つのヒントとしては、収益指標の高い顧客と低い顧客、常連客と離脱客などの違いを調べてみるのが良いかと思います。


おそらくは収益指標の高い顧客は満足度も高いであろうと思われます。彼らが何に満足を感じていて一方で収益性の低い顧客は異なるのかを明らかにすると収益性につながる指標が見つかるかもしれません。


ひょっとすると、その商品・サービス・ブランドのとある情報を知っているかどうかとか、見た目がインスタ映えするかどうかなど意外と単純なことだったりするかもしれませんよ?

顧客分析が求められる理由

顧客志向の経営


企業の経営戦略やビジョンの中に「顧客志向」やそれに類するキーワードを掲げているところはたくさんあります。


「顧客の理解を深めよう」「顧客の声により耳を傾けよう」「顧客満足度を上げよう」などといった方針が経営陣から現場に出されます。


それらに関連してか、顧客に関するデータ分析を求められたことのあるデータアナリストも多々いることでしょう。


経営層が顧客を重視すること自体は違和感はないと思いますが、ではどのような経営をすれば顧客志向や顧客重視になるのか?具体的な戦略な戦術といった詳細にまでどのように落とし込めば良いのか?ということは経営陣もおそらく頭を悩ませるところだと思います。


とりあえずそのための示唆を出すために、何か顧客分析をしろと言われて困った経験のあるアナリストもいるのではないでしょうか?(私はあります)


バランススコアカードを参考にした経営計画


経営の教科書のひとつにバランススコアカード(BSC)というものがあります。


経営計画を立てる際に、売上や利益といった財務指標だけではダメで、他に「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」からもビジョンと戦略を立てて管理するというフレームワークです。


企業の中期経営計画においては、このBSCを参考にされることが多く、中身に上記の視点に関する記述が出てくるのをよく見ます。


中でも顧客の視点に関しては、どの企業の中計でも似通った内容に落ち着いているのではないでしょうか。表現は多少異なれど大体は「顧客満足度を高める」といった傾向の内容です。


本来このBSCでは各戦略はKPIという定量的な指標によって管理されるようですが、一般に公表されている中期経営計画にKPIの記述まであるところは少ないので、BSCをKPI管理まで活用している企業はあまり多くないのかもしれません。


まあ公開していないだけで内部的にはKPI管理をしている可能性もあるのですが。。。


いずれにせよ、顧客志向という方針を立てるのであれば、具体的な戦略とその管理のための定量指標は必要です。


顧客分析も基本的にはその指標が現在どのような状況にあるのか進捗を管理することと、指標が見通し通りの進捗にない場合にどこが問題なのかを明らかにするために行うことになるでしょう。


しかし、顧客満足度を高めるという戦略を定量指標に落とすのはなかなか難しいと思います。


顧客満足度が高いというのはどういう状態のことをいうのか?そしてそれはどのようにデータとして客観的に把握できるのか?といったことを事前にしっかり定義しておかねばなりません。


例えば商品・サービスのシェアが高ければ、それだけ競合ではなく自社商品が選ばれていることなので顧客満足度が高いといって良いのか?


あるいはもっとシンプルにクレーム発生率や解約率などで顧客満足度を測れば良いのか?


また忘れてはならないのが財務的な目標(売上や利益向上)との兼ね合いです。例えば単純に利益度外視で商品やサービスの価格を下げれば顧客の満足度は上がるでしょうが、売上や利益向上にはつながらなくなり本末転倒になります。


なおバランススコアカードでは、顧客側の視点と企業側の視点の2種類があって、それぞれ顧客志向指標と顧客収益性指標と呼ばれます。


例えば前者はクレーム発生率などで、後者は顧客一人当たりの売上やコストなどがあたります。


財務的指標との関連性を重視する場合は、顧客収益指標が重視されます。が、顧客収益指標だけに着目するとコストを削るあまりサービス品質を低下させてしまうなど顧客志向に逆行してしまう恐れもあり、両方の視点でKPIを立てることが必要です。


長くなりそうなので次回顧客満足度の指標や測り方について考察してみたいと思います。

分析に必要なデータの集め方

人事の領域における代表的なデータ活用に「離職者予測」があります。


各種データから辞めてしまう可能性の高い社員を見つけ出すことです。


離職者予測はそれほど難しいものでもなく、よくある人事・勤務データや面談記録のデータ、定期的に実施されるアンケートデータなどがあれば結構高い精度を出せます。


なんとなく想像できると思いますが、辞めてしまう人間は現職に対してやる気をなくしていたり、ストレスや不満を感じているため以下の傾向が見られることがよくあります。


・面談で現状維持やネガティブな発言が多い
・周りとの関係が良くなく、評判が悪い
・長時間残業が恒常化している
・休みが増えた、残業が減った
・評価が高くない
・評価は高いが給料が低い、役職が低いまま
・転勤など環境に大きな変化があった
・社内イベント、研修などに参加しなくなった
・節目の勤続年数を迎えている
・などなど


もし退職して欲しくない社員の退職可能性のスコアが高い場合は、その影響要因を取り除くように上長等がフォローするなどが行われます。


例えば人間関係であれば部署異動や配置転換、単純なものなら席替えなど。


例えば待遇や給料に不満があるのであれば、昇格や昇給など。


例えばキャリアに関するものならば、彼らの望む経験やスキルが身につく仕事のアサインなど。


こうした対策をとることで離職率を下げることに成功している企業もあるようです。



さて、先ほど離職者予測は難しくないと述べましたが、それは離職要因に関するデータが最近は結構そろってきているからに他なりません。


とはいえ面談などのデータなどはテキストのままで残されていたりするため、構造化するための前処理が結構大変だったりしますけどね。


昨今の風潮からも社員の満足度調査や360度サーベイ、各種研修などを通して、社員の勤務状況や価値観等に関するデータの収集が進んできています。


こうしたデータは人事異動や組織変更などの参考にするという明確な目的をもって収集されているので、離職者予測などにも活用しやすいものが多く含まれています。


できれば分析で利用しやすいようにフリーテキストではなく、選択肢形式等で構造化しておいて欲しいところですが。。。


すなわち、目的を設定 → そのために必要なデータ収集 → 分析 となっています。


これが、とりあえずデータ収集 → データの使いみち(目的)を検討 → 分析 となっていると後で必要なデータが足りないとかデータがなくて分析できないということに陥りやすくなります。


このご時世データは各種業務システム等から取得されていてたくさんあるから、そのありもののデータで十分分析に足ると信じて疑わない人が何故かよくいるのですが、そろそろそんなことはないと認めて欲しいところです。


例えば、材木を適当に集めてきてここにある材料で何か我々が喜ぶ建物を建ててくださいと言っても大工さんも困ってしまうことでしょう。


とりあえず建物を建てるだけならひょっとしたらなんとかなるかもしれませんが、クライアントのニーズに合うものかどうかは博打になってしまいます。それにそもそも材木しかないのに欲しいのは鉄筋コンクリートの建物だったと言われたらどうしようもありません。


データ分析においても、まず最初にそもそも目的は何かを確認するのはほぼ鉄則となっていますが、ざっくりとした目的だけでなくそれを達成するために明らかにしなければいけないことは何で、そのためにどのようなデータが必要で、現状使用できるデータと足りないデータが何で、足りないデータはどうするかといったことも、クライアントと具体的に詰めておくべきです。


特に必要と思われるが取得できてないデータがある場合は、新たに取得するためにシステム改修を行うか、手運用等で収集を行うか、あきらめるかといった判断も必要になります。


手運用でやるとなると、最初の離職者予測の事例のときのように顧客等の対象者に定期的にアンケートや面談などのインタビューを実施したり、あるいは業務ログ等のデータに目検で新たなタグ付けを行ったりするなどのやり方で収集することが考えられます。


一時的にだけ必要とかデータ収集の頻度が低いといった場合は手運用でも事足りるかもしれませんが、それなりの頻度で定期的に収集が必要となればやはりシステム化など自動的に収集できる仕組みやその運用が必要になります。


また最近はデータバンクやオープンデータなど外部からデータを集められるようにもなってきていますが、おそらく業務目的で使えるデータは社内の基幹システムから取得できるログデータがまだまだ主流かとは思いますので、まずは社内システムから目を向けることになるでしょう。


とはいえ新たなシステム導入や既存のシステム改修などは気軽にできるものではないのと、改修してすぐはデータが貯まっていないので分析できるようになるまでさらに時間がかかることも考えられます。そのためできればシステム開発や機能改修等が計画されているなどのタイミングで、業務で再活用するために必要なログの取得も検討項目に入れるよう働きかけるなどはおすすめです。


そもそもデータ活用、データ分析といった言葉の「データ」とは今手元にあるありもののデータのみに限定した言葉ではないはずです。


データアナリストとしては、新たに必要なデータは何か、どうやって取得できるか、その運用をどうするかといった視点も合わせて考えたいですね。

社員が辞めない会社は良い会社なのか

データ分析をしていると、ある数字を上げたいとか、逆に下げたいという要望をよく聞きます。


その数字は本当に上げるのが良いのか、あるいは下げるのが良いのか、少し気にしてみるのもおすすめです。


というのも基本的には上げる(下げる)ほうが良いのだけれど、上げすぎる(下げすぎる)と逆効果になるものもあるからです。


例えば、広告を打つ回数


広告を増やすとそれだけ多くの顧客を獲得できる可能性は上がりますが、同じ顧客に複数の同内容の広告が届いたり、短期間に何度も広告が届けられたりしてしまうと、顧客側がうっとうしいと思って逆効果になる場合もあります。メールマガジンなどであれば解約されてしまうかもしれません。SNS系のチャネルであれば低評価にされてしまうかもしれません。スマホアプリであればアンインストールされてしまうかもしれません。


顧客の離脱を招いてしまうような販促施策は、穴の開いたバケツに水を貯めようとする行為に近くなるので、やりすぎないように(バケツに穴が開かないように)ある程度の制約が必要になってきます。


例えば、離職率


離職率は低いほど良いことのように思えますが、あまり低すぎると社員が全然辞めないということなので、逆に辞めてほしい社員も留まっているということになります。社員が長く会社に在籍できるような環境や制度を整えることは、社員にとって安心して働けるとか会社へのロイヤリティが高まるといった良い面もありますが、一方であまり仕事をしなくてもそれなりの給料が安定してもらえると考えてしまう生産性の低い社員も増えるという負の面もあることでしょう。


昨今では終身雇用を維持するのが厳しい情勢となりましたので、業績が悪くなると急にリストラを実施して離職率を上げる企業も多々あり、離職率を低い水準で維持し続けることが果たして良いことなのかは押して知るべしですね。とはいえ、突然のリストラは社員にとって大きな混乱を招くので、あまり良策ではないのかもしれません。ある企業では人材の流動性が上がるように全ての社員に特定のタイミングで退職すれば退職金を上積みするなどのメリットを用意して、離職率を一定水準にキープするためのマネジメントを行っているそうです。普段からそうした方針を明確に示されているほうが、突然リストラ発表されるよりは安心でしょうし、前向きなキャリアプランも立てやすいのではないかと個人的には感じます。


例えば、企画のヒット率


ネットフリックスの創業者はインタビューの中で、「(Netflixオリジナル作品の)ヒット率は高すぎる」と話していたそうです。より積極的にリスクを冒すことで、失敗作を出しながらもより大きなヒットを狙うべきだとの考えをお持ちのようです。確かにヒット率が最重視とされてしまうと、前例のない大胆な企画よりも前例ある無難な企画などにまとまりがちな気がします。しかし、そうした企画では小さなヒットは狙えても大ヒットの期待は非常に低いのかもしれません。


施策や企画の成功率が高ければ高いほど良い、あるいはミスや失敗の割合が低ければ低いほど良いというものではない場合もあるということは重要ですね。



ちなみに分析やってる人は似たケースとして最適化問題に対応したことがあることと思います。ただ通常は与えられた問題のように制約条件が明示されているとは限らないので、自分で制約条件を見出せないと誤った目標を立ててしまったりするかもしれません。指標や数値を上げすぎる(下げすぎる)と何か問題はないか常に意識してみると、良い示唆や分析につながるかもしれませんね。

データアナリストのマネージャーに必要なスキル

部下目線のマネージャー


・相談しやすい
・いざというときサポートしてくれる


いわゆる360度評価を行うと、上記のような上司へのコメントがよく上がってきてます。


確かに最近身近にもそのような管理職が増えているように感じます。


元々そうした性格の人が管理職についているというのもありますが、昨今の働き方改革や人手不足などの風潮も相まって、特に若手の部下が辞めないように気を遣っての行動という面もあるのではないかと思います。


一方同時に下記のような不満が出てくるのもよく耳にします。


・属人的な業務が多々残っている
・不要な会議や報告書作成など無駄な業務が多い
・ノウハウやマニュアル等がきちんと蓄積・管理・共有されていない


これらの声は直属の上司への不満というよりは、自部署以外も含めて会社全体への不満なのかもしれませんが、実際のところは会社の問題というよりやはり各部局の管理の問題に帰着するのではないかとも思います。


すなわちだれの責任かと言われれば、管理職の責任であるということになるのでしょう。


ただ、上司は上司で部下に辞められたくない・嫌われたくないと思っている、あるいは部下が指示待ちではなく自発的に仕事をすることを望んでいるので、部下が助けてほしいといえば助けるが、基本は自由にさせて細かく口出ししないようにしていた結果なのかもしれません。


ちなみに上司がこのような対応をしていても、部下が優秀であれば上記の不満・問題はあまり出てこないだろうとも思います。


優秀な部下は全て自己判断で突っ走るというようなことはせず、関係者には適切な報告・連絡・相談を自分から行いますし、情報等も自分ひとりで抱え込むようなことはせずに必要なドキュメントとしてきちんと作成・管理・共有します。そうすることが、自身の業務効率化にもなるということをわかっているからです。


すわなち、上記の不満の原因はある意味部下側の問題というのも少なからずあるとは思います。


しかし通常はそのような優秀な部下ばかりでもないでしょうから、そうでない部下に合わせた管理もやはり必要です。


部下の自立心を養うためといっても、何でも部下任せにして放置しすぎるのも良くないでしょう。(もちろんガチガチにマイクロマネジメントするのもダメでしょうが)


さらに部下の目標設定を部下にさせるというのも私からすると結構不思議な慣習に感じます。


部下からすると基準もわからないし、達成したところでどう評価されるのかもわからないままではないでしょうか。


部下個人がこうなりたい、こうしたいとか、あるいは上司の目から見てここが弱いとか苦手なものを克服させようとして設定するのは、チームの目標に関連するものならともかくどちらかといえば育成計画とかキャリアプランであって、評価のための目標設定とは別にした方が良いと思います。


チーム目線のマネージャー


上司にとって負荷はかかりますが、上司がチームの目標達成を前提に、他のメンバーとのバランスを見ながら、かつ部下に何を期待しているのか明確に伝わるように設定すべきではないかと思います。


ということで、管理職は少なくともチーム目標をもとに各メンバーの目標や期待値、合わせて基本的な業務方針やルールなどをきちんと整備するくらいはやるべきではないでしょうか。


特にデータアナリストなどはどうしても業務の進め方が固定ではなく各人の経験やスキルに依存する部分が大きいので、担当が変わると全くやり方やアウトプットが変わるということが起こりやすい職種です。


仕事の進め方を一から全て部下任せにしていると、品質にもかなりバラツキも出てくることでしょう。


かといって上司が細かく仕事の進め方を指導したり管理したりするのはやり過ぎかもしれませんが、最低限仕事の進め方のテンプレートやマニュアル、過去の案件の事例や資料、Wiki掲示板等の情報共有ツール、トレーニングコンテンツなどは整備しておいたほうが良いと思います。


またデータの集計や統計・分析の解釈等でミスがなるべく出ないように、チェックを行う仕組みもあった方が良いでしょう。


チームのパフォーマンスを最大化するマネージャー


マネージャーのミッションは管理するチームのパフォーマンスを最大化することであるとよく言われます。


部下がそれぞれパフォーマンスを発揮できるように、余計な口出しをせずにただフォローに徹するという上司であれば、チームのパフォーマンスは部下次第ということになります。


部下が優秀であれば達成できる可能性が高く、そうでなければ可能性が下がる、それは果たしてマネージャとしての評価につながるものなのでしょうか。


もちろんマネージャにも様々なタイプがいるので、一概にどれが正解というのは難しいでしょう。(チームとしての評価という意味では結果させ出せばあり、と見なされることもあります)


マネージャーにはコーチングも含まれるので、仮にスポーツの世界で例えると、超一流選手を相手にするコーチもいれば、学校の部活や子供向け教室等で青少年育成を主とするコーチもいます。選手の自主性に任せてのんびり育てるのが得意なコーチもいれば、スパルタで厳しく管理するのが得意なコーチもいます。またバランス派もいます。


データアナリストの世界でも各種タイプがいると思いますが、スポーツの世界等と異なりごく少数の超一流選手を輩出するよりも、人手やスキル不足といった環境の中でもチーム全体を底上げして結果につなげることのできる、有名高校の野球部監督のようなタイプのマネージャのほうが今のところは必要とされているのではないかと思います。


ただ今後は、超ハイスペックデータアナリスト(ビジネスマン)を短期間で育成することを専門に手掛けるコーチングビジネスなんてのも出てくるかもしれないので、それはそれで結構興味があったりします。

データ戦略の立て方

最近、大規模顧客を抱える企業・サービスの提携が進んでいます。


・ヤフーとLINE
・ドコモとリクルート
・ドコモとメルカリ
KDDIとローソン(w/Ponta


一番の目的は顧客数の大幅拡大で、提携によってお互いの顧客を送客し合うことが狙いでしょう。


ただ、個人情報保護法もあるので、顧客データを丸ごと相手に渡すということはせず、自社サービスを他方の顧客にプロモーションして、自社顧客登録を促す形になると思われます。


お客が顧客登録を行い会員になれば、企業は会員とコミュニケーションをとれるチャネルを持つことができます。


そのチャネルを使って、会員がまだ購入していない商品やサービスを勧めたり、しばらく取引が減少している会員のフォローを行い離脱を防止するなどして、会員のLTVアップを狙うことができるようになります。


特に通信業界などは顧客の奪い合いが日常化しているので、離脱率は重要なKPIとされているようです。


いかに顧客を囲い込むかを苦心してこれまではサービスの価格や品質で競合と差別化していたことが、お互いの企業努力でなかなか差別化が難しくなったために、「いかに顧客から離脱されにくくするか」にも注力せざるを得なくなっています。


アプリ一つで、様々な買い物から旅行の予約・各種支払いの決済・SNS・ゲーム・音楽や動画を楽しむなど様々なことができるようになる「スーパーアプリ」という言葉も誕生していますが、これも企業側からすれば顧客に便利さを提供するとともに、他のサービスに簡単に乗り換えにくくする囲い込み戦略のひとつなのでしょう。


また昨今多くの会員が集まるプラットフォームは、外部の企業からも広告の出稿先として魅力的に映るため、広告媒体(メディア)としてのビジネス価値も向上します。


グーグルなどは正に売上の大部分が広告収入で利益率も非常に高いことで有名です。


そのため、最初は利益を度外視して多額の費用をかけてでもまずは会員を大量に獲得することから始めようとする戦略の企業も散見されます。


こうした状況を見ていると、昔はいいものを作れば売れるというプロダクトアウトの戦略が主流だったのが、顧客の多様化からニーズに合ったものを提供するマーケットインの戦略に代わり、今は顧客を集めることが重視され、そのコミュニティの構築・維持・拡大の戦略にシフトしているような気がします。


もちろんその上で、個々の顧客のニーズや満足度を満たすにはどうすれば良いのか、新たなニーズを満たすような新商品を開発できるかなどの戦略を考えることも引き続き必要だと思います。


一方でデータをビジネスに活用するために、データ戦略として、データを集める、整備することに取り組んでいる企業もいます。


それはそれで重要なことで、最初に紹介した大規模提携を行っている企業でも取り組んでいることだと思いますが、大局的な視点ありきの戦略であるかどうかは重要なポイントではないでしょうか。


ただデータを集めて整備して、あとそれを分析するだけでは売上は増えないので、まずはビジネス拡大につながる絵図をきちんと描いた上で必要なことを見極めて実践することが大切だと思います。

年収2000万円のデータサイエンティスト

年収1000万円のデータサイエンティスト


数年前からデータサイエンティストという職業に注目が集まり、需要に対して供給が足りていないことから高給が期待できるとの話があちこちで叫ばれています。


大手IT企業では、データサイエンティスト等を含む高度IT人材に対する報酬を、通常の給与体系とは別に定めて最大数千万円まで支払う制度を導入することも発表されています。


そうした気運を受けて、最近東大生の間でもデータサイエンティストが人気職業になっているようです。


https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2001/14/news038.html


上記の記事ではタイトルにもあるように、新卒でも年収1000万円が期待できる企業が増えているようです。


フリーランスであれば月に150万円ほどの単価の案件もあるとのことなので、年収換算では2000万円弱に到達できるようです。


一応相当な知的レベルとビジネスセンスも求められるのでハードルは高いという注意喚起もなされています。


私が就職活動をしていたころは、今のデータサイエンティストと同じような感じで、当時の高給取りの代名詞であった外資系コンサルや外資系金融に高学歴の学生が殺到していたので、いつの世も似たような風潮だなあと感じます。


ただ当時の外資コンサルや外資金融は企業数も多くなく募集人数も少数だったためかなり狭き門だったのですが、今のデータサイエンティストはあちこちで需要の声が上がっているので、頑張ればなんとかなるんじゃないか感を持つ学生も当時よりは多くいるのかもしれません。


ところで日本の企業の求人募集では、一般社員や管理職クラスで年収2000万円以上の案件はほとんど見かけないのではないでしょうか。給与幅の上限値も、高くとも2000万円までとされていたりすると思います。


これは2000万円を超えると確定申告が必要となるため、一般的な会社員であればおおよそこれくらいが上限とみなされているからではないかと推測します。あるいは、年収2000万円を超えているのは日本企業では主に役員や経営者なので、そことの一応の線引きをしたいのかもしれませんね。(日本企業の経営者の中には、社長や役員よりも給与の多い社員はけしからん!という考えの人も未だに存在しています)


※ちなみに今年(2020年)から税制改正で850万円以上の会社員も増税になるため、~850万円までという求人の数も増えているように感じます。


ということで、外資系企業やフリーランスを除いた場合、データサイエンティストとして仮に新卒で1000万円をもらえる企業に就職できたとしても、役員以上に出世できるようになるまでは昇給しても天井は2000万円くらいまでという可能性が高いのかもしれません。


※当然役員に出世することも狭き門なので、ほとんど給料が上がらずに頭打ちになってしまう可能性の方が高いのでしょうけど。


といっても、世の中の平均年収が400万円ほどと考えると年収1000万円は十分に高給です。これで十分満足という方も多いでしょう。


年収2000万円のデータサイエンティスト


中にはもっと稼ぎたいという人もいるでしょうが、前述の通り年収2000万円以上はさらにハードルが高くなります。


フリーランスでも2000万円以上となると、月170万円以上の単価の案件をこなす必要があります。なお税金や社会保険等を考慮して会社員と同水準の手取りとなるともう少し高単価が必要です。


そうした高単価案件は今のところは数は少なく非常に狭き門のようです。


※ただしエージェント会社経由ではなく、個人の伝手や業界ネームバリュー等で案件獲得できればより高単価も意外とあっさり獲得できるかもしれません


では年収2000万円を超えるにはどうすれば良いのか?


データサイエンティストとして高スキルになるとしても、一人での生産性には限界があるので(難易度も高いので)、複数名で稼ぐというのが現実的な路線ではないかと思います。


知り合いにデータ分析系人材を集めて多数のクライアント企業のデータ分析関連業務を業務委託契約でこなしている会社を経営している人が数名います。


仮に一人月100万円で契約し、うち半分は会社の取り分とすると、10人いれば年間で6000万円になります。20人いれば年間1.2億円です。固定費がたくさんかかるビジネスでもないので社長の取り分(役員報酬)を高く設定することも可能でしょう。


またデータ分析関連のソフトウェアの代理店をやってる人もいます。


こちらはデータサイエンティストというよりは、そうした領域に詳しいセールスやコンサルタントを集めてソフトウェアを販売し、マージンを得ます。


こちらもセールスの数を増やせばそれに応じて売上も伸びるので、高い年商が期待できます。


まあこれらの人たちはデータサイエンティストというよりも経営者な側面の方が強いので、年収2000万円のデータサイエンティストといって良いのかは微妙かもしれませんが。


あとは、WebサービスECサイトを運営する企業と売上に応じて報酬を受け取れるインセンティブ契約を結んでグロースハック的な仕事をするデータサイエンティストも高報酬が期待できると思います。残念ながら私の知り合いにはいないので実情はわかりませんが、コンサル企業ではそうした案件もあるそうです。もし個人でやれるならアフィリエイターのように腕一本で売上をスケールさせることもできるかもしれません。


高年収を目指す場合は、どこかでサラリーマン的なキャリアから独立や経営者的なキャリアにシフトするのが一般的なのではないかと思います。


とはいえデータ分析(に限らずビジネス一般)は、年収だけなくやりがいや社会貢献などといったモチベーションもあるので、そちらの観点を追求した結果、年収も自然とついてきたというのが理想なのかもしれませんね。高年収の人ほど幸福度も高いというわけでもないようですし。



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