データアナリストの役割と期待されていること2

データアナリストの役割


データアナリストの仕事は多岐にわたりますが、何を期待されているかで考えると大きく2つに分かれるかと思います。前回は以下の1について論じてみました。


1.データを提供する

2.データ処理を自動化する


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今回は上記2の「データ処理を自動化する」という役割についてお話してみます。


データ処理の自動化(複雑なデータ処理)


こちらは分析の仕事とは多少毛色が異なり、エンジニアリングのタスクに近いものがあります。


いまだに各種業務プロセスにおいて、Excelへの入出力やその上での作業、またそれを見た人間による判断などが介在しているケースは結構あるので、そのような人手によるプロセスがあると、そこがミスの要因となったり業務量が増えたときにボトルネックになってスケールできなくなる可能性があります。


そのような業務プロセスの中でも特にデータを扱う部分は、複雑な処理ロジックを実装することが必要な場合もあり、エンジニアだけでなくデータアナリストにもタスクが降ってくることがあります。


例えば、メールやWeb広告の配信システムなどでは、それを利用するマーケターやクライアントがどういった顧客に広告やメールを配信すべきか、ターゲティングに頭を悩ませます。


ターゲット条件が「女性20代」など既存のデータからシンプルに集計できるものであれば、特にデータアナリストの出番はないかと思いますが、より効果的なターゲットを選びたいとなれば、特殊な条件設定が必要になります。


過去の類似広告等から反応の良かった条件/顧客群をおすすめするレコメンデーション機能のロジック開発や、様々なデータから複合的に構築された顧客インサイトを表す「健康志向顧客」「節約志向顧客」「旅行に興味あり顧客」などの条件を検索リストに追加するなどは、データアナリストが対応することがあります。


データ処理の自動化(定型化)


また「分析業務」はスキルや経験の異なる誰が行うかによって品質が異なる属人的な作業の印象があるかもしれませんが、業務プロセスの中に組み込まれているならば、極力定型的な作業であることが求められます。


なぜなら、業務プロセスは未知の結果を出すものではなく、あらかじめ想定されたしかるべき結果を得ることを効率的に行うためのものであるからです。


そのためある程度定型的なデータであれば、データアナリストが関わる「データ提供業務」およびその周辺業務はなるべく自動化もしくは省力化することも求められます。


売上レポートやKPIダッシュボードなどは、あらかじめ定義が決められており、定期的にチェックされるものなので、BIツール等を使うことで日次あるいは月次の出力を自動化できます。

もしこうしたレポート作成が誰かひとりの属人作業になっており、ロジックや定義が文書で残されていないと、その人がいなくなったら同じ定義で数値を出せなくなります。(まさかそんなことはないだろうと思われるかもしれませんが、こういう状況は稀にですが見たことがあるので、ないとも言い切れません)


BIツールも需要予測や、異常値をアラートで示すなどモニタリングを省力化してくれる機能が豊富なものもあり、データアナリストであればほとんどの方が何らかのBIツールのレポート開発経験があるかと思います。


また、データアナリスト以外の担当者がデータの処理や分析を行う業務を、なるべく簡易化・標準化するために、自動化とはまではいかないものの半自動化あるいは定型化できるように、簡易なツールを作成してクライアントに渡すということもあります。(BIツールに組み込むのが難しい需要予測や、予算やリソースの最適化や見積もり等のシミュレーションを行うツールなど)


他にも、業務側でレポート等で必要とするデータがきちんと取得できるよう、どういったログが必要かシステム側と協業するなどの形でシステム化の業務に関わることもありますね。


まとめと最後に


分析業務は様々な仮説検証をしたり、諸々の試行錯誤をしたり、各種分析手法のPoCをしたりと、基本的には属人性が高いものです。


しかし本来分析業務は、データ活用を広く推進するためには、標準化された形で業務プロセスの中に組み込まれて、その業務の効率化・最適化を目指すことが本筋でもあるので、いかに定型化・自動化できるかということも求められます。


その部分はエンジニアの仕事でデータアナリストの仕事ではない、データアナリストはより分析に特化した仕事に注力すべきだ!という意見もあるかもしれません。


ただ、基本的に分析だけで完結する仕事はほとんどないので、その他の領域には手を出さないのであれば、あらかじめしっかりとした分業体制が構築されていて、かつそうした体制のガバナンスが徹底している企業でないと活躍できないということになります。


もちろんデータアナリストが全てを担当するのは逆に非効率なので、役割分担は必要です。しかし分析の目的が何なのか、それがどうすれば達成されるのかは、依頼者に求めるだけでなく、分析者自身でも強く意識が必要です。


なぜなら依頼者は目的の達成を求めており、アナリストが分析することを求めているのではありません。時々「高度な分析が必要」とか言う人を見かけますが、本来の目的を見失わないようこころがけたいものです。