データ分析とPDCA

PDCAにおける典型的な課題


PDCAは、Plan、Do、Check、Actionの頭文字をつなげたものですが、これらをひとつのサイクルとして繰り返し回していくことで、改善を進めていくものです。


前回の「KPI」に負けず劣らず、「PDCA」もビジネスの世界では非常に使用されることが多い言葉です。


そしてKPIと同様に、PDCAもうまく使いこなせている人は多くないという言葉の代表格ではないかと思います。


PDCAの典型的な課題としては、CheckまではできてもActionが実施できないというケースではないでしょうか。


時間、予算、工数、技術等が足りないといった物理的な制約のために、改善策が実施できずに終わるというのはよく聞きます。


PDCAのサイクルが長期的なスパンで捉えられているならば、物理的な制約もいずれ解消できる可能性はあるかもしれませんが、大体のPDCAは非常に短期的あるいは単発の企画や施策レベルが多いので、最初からリソースに制約があってActionも制限されている前提でスタートしてしまうことが多いようです。


特に単発の施策であればそもそも途中で軌道修正などできないということは普通かと思います。もし改善策が検討されてもそれを実施するのは次回の施策で、ということになるでしょう。


とはいえ、その時の改善策が次回の施策のPlanにきちんと引き継がれて反映されるならまだしも、時間の経過による忘れや担当者の変更などで、改善策が忘れ去られてPDCAサイクルも断絶してしまう、あるいは新たに別のPDCAサイクルとしてスタートしてしまうというケースも非常によく聞く話です。


C⇒A⇒Pの途中で断絶が起こってしまう理由


PDCAサイクルが回らず改善が進まないと、課題が解決されないまま再び同じ課題に直面してしまうということが繰り返される恐れがあります。


担当者の力量などが問題の可能性もありますが、結構頻繁に起こりうるとすると、ひょっとすると構造的な欠陥がある可能性もあります。


よくあるのは、事業の目標をどのように達成するかはその担当者任せになっているケースです。


担当者の評価も、PDCAサイクルができているかどうかではなく事業の目標達成とリンクされます。


よって担当者にとっては、PDCAによって何かを改善したとか、目標が達成できなかった時に何が原因だったのかを明らかにして次回に活かすといった点は基本的に評価対象ではないため、それを行うモチベーションも基本的に発生しません。


また次期にその事業を引き続き担当するとも限らないので、基本1回1回で完結するものという意識が強いでしょう。そのためもし担当者変更が発生しても、引継ぎも最低限の情報の伝達のみでPDCAが継続されないことが通常かと思われます。


PDCAサイクルが途中で断絶しないようにするには


事業自体の目標達成の管理を担当者任せにせず、関係者を巻き込んだ形でなるべくオープンに進めていくならば、PDCAサイクルのような進め方はひとつのやり方としてアリでしょう。


その際、Planの内容、Doの結果、Checkの項目、Actionの改善をきちんとログとして共有化および管理できるようにするのが第一歩と思われます。


できれば業務プロセスの中にPDCAの要素も定型管理項目として埋め込まれていると、自然とログが蓄積されるようになるのでおすすめです。


そして、なるべく担当者の属人性や変更等によってPDCAの品質が落ちないように、一方でより改善を進めるために担当者の貢献も評価できるようにするバランスがとれると仕組みとして理想的と思われます。


さらにデータアナリスト視点でいうと、Actionの時にきちんと定量的な分析も行い、改善案が根拠のあるものになっているかどうかは非常に気になるところなので、そのフェーズではデータアナリストも関わるようになっているとより効果的でしょう。


データ分析もPDCAプロセスが機能しないと効果を出せない


データ分析も基本的にはPDCAプロセスにのっとって実施されることはよくあります。


例1.仮説立案と分析設計(P) ⇒ データ収集と集計(D) ⇒ 結果の解釈(C) ⇒ 示唆・提言(A)


例2.KPI設計(P) ⇒ モニタリング(D) ⇒ 異常値検出&要因調査(C) ⇒ 改善実施(A)


しかし機能しないPDCAと同じように、Checkまでしか行わわれずそこからの改善案や提言などが実施されないと折角のデータ分析も活かされずに終わります。


データ分析を活かせるようにするには、PDCAの課題とその対応と同じように、そのためのプロセス化や形式知として管理するためのログ化なども必要かもしれませんね。