データアナリストの今後のキャリアを考えてみる(定期イベント)

最近、機械学習を簡単に実行できるソフトウェアはあちこちで見かけるようになりました。


AI人材やデータサイエンティスト育成サービスも流行しているので、機械学習の知識を持つ人も今後増えていくことでしょう。


BIツールも相変わらずの状況です。使われないレポートや類似レポートが乱立したり課題もありますが、データ活用の第一歩として導入企業は増え続けています。新しい製品を開発する新興企業も出てきています。


またマーケティングの領域では、マーケティングオートメーションのソフトウェアやCRMのソフトウェアもたくさん世に出ています。


デジタルトランスフォーメーションによって、業務がどんどんデジタルのツールに置き換わると、データの処理や業務上でのデータ活用に慣れる人も増えていくと思われます。


こうして様々な業務においてデータを活用するということはさらに広がっていくことでしょう。


ただ一方で、データ分析を自動的に行ってくれるツールはまだ世の中にありません。(私の知る限り)


データ加工や集計を手軽にできるツールや、機械学習で使用する用に簡単な前処理や変数生成をある程度自動的にしてくれるツールは見かけますが、KPI設計を自動的に行ってくれるツールや数字の因果関係を自動的に判別してくれるツールなどはまだ出てきていないかと思います。


IBMのワトソンなどは、今後それに近いツールになっていくかもしれませんが、まだまだ時間はかかりそうです。


こうした現状と今後の見通しの中で、現在データ分析を生業にしている人間は、どのようにキャリアを考えていけば良いのでしょうか。


ざっくり考えると、3つほど方向性がありそうです。


1つ目は、データ活用を推進するためのソフトウェアの開発。


ただ、現在すでにレッドオーシャンに近い状況になってきているので、よほど他にない利便性の高い機能を備えるか、既存の高シェアツールを買収して多くの既存ユーザを最初から囲い込んだ状況で始めるか、あるいはまだ手作業の業務領域(ブルーオーシャン)を見つけてそこで先行者となるか、なかなか厳しい戦略を実現しなければならなさそうです。


2つ目は、まだ自動化などが難しい人手による業務で専門性を発揮すること。


先に述べたように、KPI設計や数字の因果関係の判別などはまだ人が行う業務なのでそうした領域で実績と経験を積んで仕事にありつくことはまだ可能かもしれません。ただし、どんどん便利なツールが開発され、それほど高い知見や専門性がなくとも業務をこなせる人が増えてくれば、単価が下がったり仕事を確保するのが難しくなる可能性もあります。また逆にそうした領域をカバーするソフトウェアを自らがいち早く開発できれば、1つ目の方向に転換して成功できるかもしれません。


3つ目は、データ活用がシステム化していく中で、それらをさらに推進・補完する役割。


現在ではシステムの提案・導入・開発・運用・教育などの事業を行っているSIerやソフトウェアベンダー、コンサルティングファームなどがそうです。市場としては今後拡大の見込みなので、彼らが引き続き大口の顧客との関係を維持し高シェアのソフトウェアやツールを手掛けることができれば今後もある程度仕事は確保できることでしょう。


その中でも競争や各社独自の動きは出てくるでしょう。コンサルファームなどはデータ活用のための組織設計や業務プロセスの整備など体制面のサポートから入るなど提案やサービスの間口を広げていますし、SIerは人手を確保しないとビジネスが拡大できないため、昨今のエンジニア不足の背景も相まって、利幅がよくコストもあまりかからない1つ目のソフトウェアビジネスの方も併せて手掛けるという方向に目が向いてるところもあるようですね。


いつまでもデータ加工しかできないとか、機械学習モデリングしかできないなどと業務領域や学習領域を限定していると、そのうちコモディティ化が進めばツールや他の人に置き換えられる可能性が高くなります。


データ分析の実業務をこなしていれば、データ分析スキル以外にも様々なスキルが身に付きます。


担当する業界および業務知識に長けてくる、クライアントとの交渉や提案・ヒアリング等のコミュニケーションスキルが鍛えられる、プレゼン・報告書作成・会議のファシリテーション・プロジェクトマネジメントといったビジネススキルも身につくなどの副次的な効果も得られます。


データ分析スキルと別のスキルを掛け合わせてより希少な人材を目指すも良し、データ分析スキルを強みに他業務をキャリアの主軸に置くも良し、どうコモディティ化の流れに抗っていけるか、あるいはうまく波にのっていけるかを考えなくてはいけないのかもしれません。


特に2つ目においては、すでにジレンマを感じてきている人も増えているようです。私自身もそうです。まだ今のところは役に立てているのではないかと思っていますが、今後の見通しは不透明なので今のうちから何か考えておかねばと悩むことも少なくありません。


個人的には、いずれに方向に進むにせよ交渉や提案のスキルはなるべく経験を積んで磨いておくことは良いのではないかと思ってます。他で活かせる汎用性の高いスキルであるだけでなく、意味のあるデータ分析や、効果の見込めるデータ分析につなげられる確率も上がるからです。


とまあ、先週に引き続き同じようなテーマの記事になりましたが、今後も定期的にデータアナリストのキャリアについて少しずつ考えていきたいと思います。その時々の情勢などによって中身も変わっていくかもしれないですしね。