DX記事の第4弾です。
なぜDXが必要なのか ~2025年の崖~
古い既存システムをそのまま使い続けた場合、システム担当者の引退、既存ソフトウェアやハードウェアのサポート切れなど様々な問題が今後起こってくることが想定されています。
これらの課題を放置したままでいると、トラブルやセキュリティのリスクも高まりそれらの対策やシステムの保守などで想定以上の費用がかかってくると言われています。
2025年以降それらが一気に経済損失として膨れ上がっていく(最大で現在の約3倍、年間12兆円)というのが「2025年の崖」とのことです。
経産省もこのように警鐘を鳴らして、今のうちにDXを推進しよう!と叫んでいます。
なぜDXが必要なのか ~世の中の急速な変化~
AIなどの技術はどんどん進歩しています。先進企業はそれらを率先して活用あるいは自ら研究開発してビジネスに活かしてきます。
それらは世の中に大きなインパクトを与え、人々のライフスタイルや価値観にさえ影響を及ぼします。
そうした中でいつまでも旧態依然としたビジネスモデルやシステムで戦っていけるだろうか、新しい技術を取り入れないと時代に取り残されていくのではないか、などの不安を感じている人も少なくないでしょう。
DXは実現できなくても問題ない?
DXに取り組む理由がこのような不安感や危機感からのものであっても、最終的に当初描いていたTOBE図が実現できれば問題ないのかもしれません。
しかし動機が不安感や危機感の解消である場合は、最終的にDXが進まないままでもそれらが解消されればそこで終わりということも十分ありえます。
例えば、
・競合他社もDXの取り組みが進んでいないから取り残される不安が薄れた
・現状特に影響もなくこのままでも問題ないんじゃないかと思うようになった
・DXとはまた別に課題や優先事項が生まれてそちらに注力するようになった
こうした状況からDXプロジェクトが停滞したまま新たに動き出さないという企業もあるのではないでしょうか。
DXで本当に変えるべきモノ
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
最近、実はこの企業文化・風土の変革というのが一番大事なのではないかという考えも芽生えてきました。
というのも、顧客や社会のニーズは不変ではなく、DXも一度デジタル化(システム化)すればそれで終わりとはならないでしょう。
企業がこれから先も生き残っていくためには、引き続き顧客や社会のニーズの変化に応じて、サービスやビジネスモデルなどを絶えず変革し続けることが必要と思われます。
そう考えると、いかにリスクを恐れずスピード感を持って新たなチャレンジを繰り返していける組織・企業であるかが必要条件になってくると思います。
そのような企業文化・風土でなければ、常に保守的な考えや現状維持バイアスの方が優先されてしまい、変革が実現しないといったケースが多くなるのではないでしょうか。
ではどうすればそうした組織・企業に変わっていけるのか。
組織・企業の文化や風土はそこで働く人々によって醸成されていくものではありますが、とにもかくにもその中で経営層の影響は非常に大きいはずです。
経営層は企業のビジョンやミッションを定めて、さらにあるべき価値観や行動指針などを整え、それらを従業員に浸透させることに尽力します。
いわば企業文化・風土の基盤作りを行います。
ただしそれらの内容が経営側にとって都合がいいだけのものや、対外的に聞こえの良いメッセージだけで実体の伴わないものであれば、従業員にはただのきれいごととしか思われずほとんど浸透しないことでしょう。
当然それらは形だけのものではなく、従業員みなが納得して実践できるように実際の制度や環境なども整えられたものでなければなりません。
DXというシステム的な改革をきっかけに、それを支える企業文化・風土といった基盤も改めて見直してみるべきかもしれません。
難しい課題ではあるのでしょうが、高成長や先端事例として紹介される企業では、優れたコアバリューやユニークな社内制度・文化なども併せて紹介されたりしています。
参考1:「経営者目線を持て」
結構有名な言葉かと思いますが、この言葉を乱発して一般従業員から冷めた目線を向けられるという話もよく聞くのではないでしょうか。
「自分はただのいち従業員で経営者じゃないから必要ないよ」
「やりがい搾取か!?」
などのような感想を持つ人も多いでしょう。
ただ、実はこの言葉が指す経営者とは「その会社」の経営者ではなくて、「今の自分の仕事を行う会社」の経営者のことを指すようです。
つまり、今の仕事を主力事業とする企業の経営者になったとしたらどう考えるか、ということです。
よって、今の会社の経営者のために滅私奉公せよということではなく、今の立場で自己の利益を最大化するためにはどうすれば良いか考えろ、ということでもあります。
とはいえ、そのためには実際にある程度の権限や予算を持たせてもらうなど経営者としての武器を用意してもらえないとどうしようもなかったりするでしょう。
誤解を生みやすいメッセージであったり、誤解を誤解のまま放置するようなら従業員の意識の変革は厳しいでしょう。
参考2:Zapposの事例
ZapposはAmazonがどうしても欲しがった企業として買収され有名になりましたが、そのコアバリューも事例として色々なところで紹介されています。
全部で10個ありますが、そのうちのふたつを紹介します。
Embrace and Drive Change
変化を受け入れ、その原動力となれ
Be Adventurous, Creative, and Open-Minded
リスクを恐れず、創造的で、オープンマインドであれ
これらのコアバリューを実践できるように、Zapposでは社員に大きな裁量権を持たせ、評価や採用基準とも強く結びつけているようです。
DXシリーズまとめ