広告回数の最適化

広告はたくさん出すのが良いのか


TV、ネット、街中など色んな場所で多くの広告を日々みかけます。


ある調査ではWebのトラフィックの4割以上を広告が占めているそうです。


確かにいくら良い商品やサービスを開発しても、まずは人々に認知されないとなかなか購買につながりません。


広く告知する手段としてやはり広告は欠かせないものなのでしょう。


ただし、現状の広告にあふれた世の中では、よほど印象が強くなければ、興味を持ってもらえるどころか認知してもらうことさえ至難の業ではないでしょうか。


広告のチャネルや内容などにもよりますが、一目見られておしまいとか、数秒あるいはそれ以下しか目に入らないとなると、少ない接触では中身が伝わるかどうかも怪しいですし、人々の記憶にもほとんど残らないことでしょう。


そのため広告の効果を少しでも上げるには、ターゲットとの接触時間や接触回数をなるべく増やすように広告を出すことも大切です。


行動心理学でも人や物への接触回数が増えれば増えるほど好印象を持つようになるということは言われています。(ザイオンス効果)


広告による接触時間や接触回数が増えれば認知されやすくなり、それだけ購買までつながる確率も高まることでしょう。


マーケティングの世界では、セブンヒッツ理論とかスリーヒッツ理論など言われています。(それぞれ7回あるいは3回広告に接触すると購入確率が高まるという理論)


しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしのように、接触時間や回数が多ければ多いほど良いとは限りません。


広告の商品やサービスを既に認知しているのに購入しない人に、繰り返し広告を出しても効果はあまりないでしょう。


広告の商品やサービスを既に購入している人に、繰り返し広告を出しても同じくあまり意味はないでしょう。(リピートにつながるかどうかは今度は広告ではなくその商品の評価によります)


逆に広告をうっとうしいとかしつこいとか思われてしまい悪印象につながる恐れすらもあります。


上記の3回や7回の理論はそれ以上広告と接触させてもあまり効果が上がらないということでもあります。


広告の回数はどれくらいが良いのか?


では適切な広告の接触時間や回数はどれくらいなのでしょうか?


上記で紹介した7回や3回の理論もひとつの目安として使えるかもしれません。


もし仮にとある全広告の掲載期間の延べインプレッション数が50万として


A. 接触対象者が50万人なら、一人当たり1回の接触になります。


B. 接触対象者が10万人なら、一人当たり5回の接触になります。


単純に考えると50万人に届けられたAのほうが広告の効果は高そうです。しかしザイオンス効果やセブンヒッツ理論等によると、必ずしもAのほうが良いとは言い切れなさそうです。


実際は平均接触回数が5回とかいっても、接触対象者によって広告に1回しか接触していない人と複数回接触している人が入り混じっているでしょうから、その分布によっても違いがあるでしょう。


セブンヒッツ理論やスリーヒッツ理論、ザイオンス効果なども、当然ながら全てのケースに当てはまるわけでもないでしょうし、回数だけで最適化できるとも限りません。


広告の効果は他にもクリエイティブや中身も影響があると思われますし、広告一回当たりの接触時間やタイミング、接触の「間隔」も影響があると思われるので、実際はそうした要素も考慮が必要でしょう。(短期間に何度も広告メールを送るなどもおそらく逆効果)


またそもそも広告の接触ログを適切に取得できていないとそうした要素を分析することも難しいところです。(TVCM、看板、つり革広告などはデータ取得が難しいのではないでしょうか)


うーん、こうして考えると広告の出し方や回数などの最適化は複雑で厳しそうです。


全てがデータ化されれば機械学習などを使って自動的な最適運用も可能になってくるかもしれませんが、非データ要素が多く絡む段階ではやはり各要素について部分的な検証を続けて大体の運用目安を見極めていくのが結局急がば回れかもしれません。


このあたりは引き続き色々事例や研究なども調べてみたいところです。