データ分析の民主化

データ分析の民主化とは


「一握りの専門家だけでなく、誰もがデータ分析を行えるようになる」


データ分析の民主化とはおそらくこのような状態を指すのでしょう。


データ分析の民主化自体は大きな方向性として目指すのは間違っていないと思います。


データ分析の民主化は難しい


しかしこれを実現するために、まずは誰もが手軽にデータにアクセスできるようにする、というやり方にはちょっと疑問を持っています。


ありとあらゆるデータやレポートがあふれた環境がありさえすれば、そこではデータ分析の民主化が実現していると果たして言えるのでしょうか。


データアクセス環境を整える取り組みの結果、BIレポートやダッシュボードが乱立してしまったり、業務側が慣れないSQLで誤ったデータを集計してしまったり、必要かどうか不明な大量のデータ抽出依頼でデータアナリストやデータエンジニアが忙殺されてしまったり、といった現場も少なからずあるようです。


もちろん中には業務に必要なデータや意思決定等の参考になる重要なデータもあると思われますので、データアクセス環境を用意すること自体は間違いではないと思います。


ただ様々な種類のデータやレポートが無秩序に置かれている、どんどん増えていく、使われないものはそのまま放置されている、といった状態はあまり宜しくないでしょう。


かといって定期的に棚卸や整備を行うのも現実的かというと難しいところです。


それらの整備コストもそれなりにかかりますし、必要なデータとそうでないデータを見極めるのも難しいことだからです。


必要なデータは部署や人によって異なるかもしれませんし、いずれ必要になるかもしれないと言われると現時点ではあまり意味はなくとも不要なデータとは断定しにくくなります。


結果的にそうしたデータが使われないまま蓄積されていくと、そうした環境整備のコストだけがどんどん膨らんでしまう状態に陥りかねません。


こうした課題は簡単に解決するものではないでしょうから、本当にジレンマを感じるところです。


データ分析の民主化の実現方法


ベストな対策ではないかもしれませんが、一案を考えてみました。


1.最初に最低限必要なデータやレポートを定義し、それのみを提供する。


2.それ以外に必要かもしれない、参考になるかもしれない、見ておいたほうが良いかもしれないデータ等に関しては、データアナリストと業務メンバーを含めたチームを作り(兼務)、調査・研究する。


3.そこで有用性を認められたレポートはダッシュボードに追加される。


4.半期に一度くらいの頻度でレポートの有用性を確認し、棚卸を行う



いきなり全員の民主化を目指すのも難しいので、まずは業務側にデータ活用を推進する担当者を用意してもらってその担当とデータアナリストで小さく始めるというのもありかもしれません。


またそもそもデータさえあれば誰でも「分析」が可能というわけでもないので、分析のトレーニングやノウハウおよび事例の蓄積・共有といったワークも並行して必要になるかと思います。


データ分析の民主化を実現するために、データアクセス環境を用意すること以外にもやるべきことはおそらくたくさんありそうです。


もしそうした民主化が実現できれば、データドリブンで効率的な企業体制も可能になるかもしれません。


なかなか簡単な道のりではないと思われますが、取り組むべき意義や価値はあるのではないかと思います。