データ分析人材の評価制度

一般的な評価制度


企業における従業員の評価は、おおよその職位に分かれて実施されているかと思います。


年功序列型の企業ではその職位は平社員→主任→課長→部長→役員といった形でステップアップするようになっていると思いますが、社員が増えてくると役職も足りなくなり、副部長や担当課長などのような新たな職位も導入されているところもあったようです。


また今は皆が皆管理職を目指すわけでもなくなったので、管理職を目指すルート以外に専門性を高めるルートを別途設けるなどして、シニアやプリンシパルといった枕詞を使った呼称などを使われているところも多いようです。


ただ職位間の上下がわかりにくかったり、職種ごとに職位が統一されていなかったりすると管理が大変なので、実際はグレードや等級といった区分で運用されることが一般的かと思います。


そして評価もその区分に応じて実施されていることでしょう。


一部営業職のように個人の成果による差が大きい職種に関しては、基本給をやや低めにしてインセンティブボーナスを導入するなど別枠で管理されていたりもするかと思いますが、多くはグレード評価なのではないかと思います。


データ分析人材も他の職種と同じくこちらのグレード評価の対象となっているところが多いのではないでしょうか。


一部の人材向けの特別な評価制度は可能なのか


ところで、データ分析人材は世の中的にはまだまだ不足していると言われています。


求人などでもなかなかのハイスペック人材を募集されているところをよく見かけます。


こうした人材を採用するためには待遇を良くしなければならないという考え方もわかりますが、データ分析人材など一部の職種だけ待遇を良くするというのは先述のグレード評価にはあまりそぐわず簡単にできるものではないようです。


データ分析人材の中だけのグレードならともかく、多職種も含めてとなるとなかなか横断的に公平な評価制度とするのも困難でしょう。


同じグレードでも特例で一部の職種だけ高額の給与レンジにするわけにもいかないでしょう。


またどの職種においてもグレード間の給与レンジを合わせたとしても、差をつけるため一部の職種はグレード3-10、通常職種はグレード1-8とするなども不公平感を払拭できないでしょう。


いっそ職種ごとにそれぞれ異なる基準のグレードを設定するという選択肢もあるかもしれませんが、これはこれでどう決めるのかで揉めて不公平感がさらに拡大する恐れがあります。管理も大変でしょう。


単純に専門性が高ければ高いほど高評価とするわけにもいかないでしょうし、またそれを職種ごとに差をつけて良いのか、あるいはつけられるのかという問題もあります。


営業職のように成果を売上などの定量的な尺度で測れないと、複数の職種間での公平な評価は非常に難しいものかと思います。


一部の企業では高度な専門性を持った人材に、数千万円以上の高額報酬を出すというのがニュースとして話題になったりしています。


こうしたハイスペック人材の評価や待遇をどうするかは、企業側もこれまであまり経験がなくて課題に感じているかと思いますが、おそらくはこれまで1-5までしかなかったグレードに6を追加するなど、新たなグレードを設けて対応しようとしているのではないかと思います。


既存の人材の評価にはあまり影響を与えずに、本当に高度な人材に対してのみ新たな評価基準を導入するというやり方ですね。


あと中には企業が定めている行動規範やコアバリューといった職種によらない観点で評価の一部を行うところもありますが、そういったなるべく共通の尺度でないとグレード評価の基準にはしにくいのかもしれません。


(かといってそれだけで評価が行われるというのは納得いかない人も多いかもしれませんが)


評価とは、本来は職種ではなく求められる役割とその中での成果によってなされるのが適切だとは思います。


そのためきちんとした役割の設定と成果を評価する基準を設けるのが本質的な解決なのかと思いますが、これはこれで簡単ではないでしょう。しかし見失わないで欲しいとも感じます。


評価制度の目的


評価制度の目的は人材の採用と定着かと思います。


今の自社に足りない人材を採用するだけでなく、既存人材含めて長く企業に定着してもらい、多くの成果や貢献をもたらしてもらうためのものではないかと思います。


そのため給与や報酬の評価制度だけではなく、柔軟な働き方を許容するなど他の魅力的な制度も設けて人材の呼び込みや定着化をはかるやり方もあるでしょう。


ただフレックスなどはかなり一般的になりましたし、副業やオンライン勤務なども昨今の情勢から認めるところも増えています。


現時点ではまだまだ制度として導入していないところもあるので有効な面もあるかと思いますが、いつまでも差別化材料となるかはなんともいえないことでしょう。


逆にこれまでにないユニークで魅力的な制度などを今後新たに設ける企業が出てくる可能性もあるので、それは期待したいところですね。