顧客単価を上げるためのデータ分析とドメイン知識

データ分析をしても、なかなかその結果が業務に活かされなくてジレンマを感じるということはないでしょうか。


特にクライアントが見たいデータを集計して返すだけといった業務に慣れてしまっていると、とりあえず仕事をした感はあると思いますが、成果という意味ではなかなか手ごたえを感じるのは難しいことが多いかもしれません。


業務側の何らかの課題解決につながったとか彼らの目的達成に貢献したなど、わかりやすく目に見えた成果を求めたい気持ちはよくわかります。


今回の「顧客単価を上げたい」というのは一つの例ですが、業務側がこうした目的をもって販促等に取り組んでいるとしたら、データ分析側はどのような支援が可能でしょうか?


まずは現在の顧客単価がどうなっているのかデータで示すことは可能ですね。


何らかの顧客の分類があるのであれば、その顧客セグメントごとに単価やそのばらつきを見てみると特徴が見えてくるでしょう。


また時系列推移をみることで、顧客単価が安定しているのか、変動しているのかも知ることができます。


ただし、それだけではどのようにすれば単価アップできるのかといった案を出すのは厳しいのではないでしょうか。


そもそも顧客単価はデータ分析をするだけでは上がらないものです。


顧客単価を上げるためには、一般的にはクロスセルやアップセルの施策を行います。


クロスセルは、ある商品を購入しようとしている顧客に抱き合わせで別の商品も買ってもらおうとすることです。


アップセルは、より高額な上位の商品に乗り換えてもらうことです。


クロスセルなどは色んなところで行われています。有名なのはECサイトで「この商品を購入しようとしている人はこんな商品も購入しています」とレコメンド表示をしたり、ファストフード店で「ご一緒にポテトもいかがですか?」とおすすめしたりするものですね。


こうしたクロスセル施策の効果をさらに上げるためのデータ分析を考えてみる、となるとどのようなデータ分析をすれば良いかもう少しイメージしやすくならないでしょうか。


レコメンドだと協調フィルタリングなどを使って実装されていることが多いようですが、さらに様々なチューニングをして併売率を上げられないかなど考えられるかもしれません。そもそもレコメンドをしてないなら併売されやすい商品リストを作ってレコメンド施策の提案をしてみるのも良いかもしれません。


アップセルはなかなか難しいかもしれませんが、アップセルした顧客の要因を調べることで、どのようなレコメンドをすればアップセルが成功しやすいかが見えてくるかもしれません。


クロスセルやアップセル自体は知ってる人も多いかと思いますが、実際にマーケティングの現場などでそれが実施されていることを意識すれば、現場の目的や課題もイメージしやすくなりますし、データアナリスト側から働きかけもしやすくなるかもしれません。


そういう意味ではクロスセルやアップセルというのはドメイン知識の一種といっても良いのかもしれませんね。


マーケティングの領域だと他にもいろんなセオリーや取り組みがなされていると思います。


大学等で研究もされているので、行動経済学や心理学を活用したものが多いのではないかと思います。


そうしたセオリーや実際にそれを使った事例などを学ぶのも、より成果につながるデータ分析を行うためにはおすすめです。

データドリブンな会社や組織にするには

データドリブンな企業を目指されているところはたくさんあることでしょう。


データドリブンとは、企業内の様々な意思決定やアクションをデータをもとに行っていく状態を指すようです。


こうしたデータドリブンを実現するにはどのようにすればよいのでしょうか。


企業内の人々にデータリテラシーやデータ分析を身に着けてもらい、自然とそれらを活用していくようマインドから変えていくというやり方もあるでしょうし、データを利活用しやすいようにデータ環境を整えることから始めていくというやり方もあるかと思います。


ただ、各担当者が色んなデータを見たがるようになった、報告書が分厚くなった、見られてるかどうかわからないがBIレポートがたくさんできた、といった現象だけだと結果的にデータドリブンで業務が進められているとは限らないので要注意です。


実際、データドリブンが浸透するまでにかなりの時間がかかったり、思うように浸透していかないと課題を抱えるところも少なくないようです。


そのためなるべく短期的に少しでも成果を出すためには、対象業務を絞ってギャップ分析を行い、具体的に改善していくのが良いのではないかと思います。


なお、ギャップ分析とは現状(ASIS)とあるべき姿(TOBE)を明確にして、その違いをどう埋めるか、違いを埋めるために何が必要かなどを具体的に考えるやり方です。


例えばマーケティング業務の予算計画と販促企画について考えてみましょう。


予算計画はうまく立てることによって、成果や効果を最適化できるのが理想かと思います。


そのため担当者は限られた予算をどう配分すべきか、配分された予算をどう使って販促施策の効果を最大化するかを悩んでいると思います。


しかし、それが担当者のカンや経験を元にした属人的な考えによるものだとすると、もしよい結果をもたらしたとしても偶々なのかもしれませんし、状況や担当者が変われば再現性はなくなるでしょう。


予算配分や企画立案がそうした状態では、効果の見積もりも難しくなり、結果もやってみないとわからないで済まされているかもしれません。


もしもデータを元にある程度効果を精緻に見積もったり、経験者の知見を言語化してデータで裏付けもとることができれば、そうした情報を使って予算配分や企画立案の仕事も最適化や効率化を進められる可能性はあります。


その場合、最初に全体の予算からどれくらいの集客効果が狙えるのか、データをもとに計画を立てます。


そしてデータを活用して、いつどのような販促をどれくらいの予算で行えば、その期待効果はどれくらいかを数値で見積もれるようにします。


こうした状態がTOBEであるとすると、そのためにはどのようなデータやその分析方法が必要かなども考えられるようになるかと思います。


(ちなみにこれはこれですごく難しいことですし、いきなり高い精度が出せるかというとおそらく厳しいので、PDCAをしながら少しずつ改善していく形になるかと思います。)


もしそうしたデータがなければ新たに収集・管理するために時間がかかるかもしれませんが、あまり役に立たないデータをたくさん集めてどう使えば良いか悩むよりは効率的かもしれません。


なお、データドリブンを実現するためには対象業務がデジタル化されていて、業務ログデータが収集・管理されている必要があると思われます。


先ほどの販促の例でいうと、過去こういった予算でこういった条件で行った施策ではこれくらいの集客効果があった、などのログイメージでしょうか。


いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)も必要になるというと、さらにハードルが上がる可能性もありますが、データドリブンを実現したい業務はどこからか?をしっかり考えることで、DXをどこから始めるかの優先順位付けにもなるかもしれませんね。

データアーキテクトとメタデータ

先日「データアーキテクト」という職種について書かれた記事を読みました。

データアーキテクトは、エンタープライズデータ管理のフレームワークの可視化や設計の任に当たり、業務要件から技術要件への変換や、データの規格および基準の定義といった役割を担う。このフレームワークは、データの計画、設計、実装、生成、収集、維持、利用、保存など、データのライフサイクル全体のプロセスを扱う

データアーキテクトに求められ役割とスキル(前) - データアーキテクトに求められ役割とスキル:CIO Magazine


データ分析をする人から見ると、とても頼りにしたい人材です。


後半部分のデータのメンテナンスに関わる部分はもちろん、前半の設計、実装、生成も担当してくれるのは非常に助かるのではないでしょうか。


企業のデータは、ビッグデータと呼ばれるほど大量のデータが蓄積されています。


しかし、その多くはいわゆるゴミデータやそのままではビジネスに活用できないデータで、データ分析の担当は分析を行う前にまずそのデータの整備から手を付けなければならないといった課題を抱えることが少なくありません。


最近ではデータエンジニアなどの関連人材も増えてきて、データ分析基盤やデータの整備も進んできている企業も増えているので、こうした課題は以前よりは減ってきている感はあります。


しかし、新たなサービスや商材、システム等が増えるにつれ、新たなデータはどんどん生成されていくので、なかなかデータ整備の仕事もなくなるということもないでしょう。


とはいえ、ログや履歴関連のデータはシステム設計時にある程度集計レポートのイメージも固められることが多く、その後の分析においてデータがぐちゃぐちゃで困るということはあまり多くないかもしれません。


大変なのはマスタ関連のデータかと思います。


商品名や取引先といったマスタは名寄せをきちんと行っていればそれほど混乱は招かないかもしれませんが、タグなどのメタデータといったものは取り扱いが難しいのではないかと思います。


例えば、商品やサービスなどをある程度ひとまとめにして管理するための「カテゴリ」や「種別」といったデータや、画像などのデータを分類するためのアノテーションデータなどです。


おそらくシステムの設計時からしっかり収集できるような仕組みが実装されていればある程度管理されやすいのかもしれませんが、なかなかそうしたデータの使い道(分析方法など)も想定されていないと最初から実装してもらえる可能性も低くなります。


さらにメタデータはルールもきちんと整備されていないと、設定する際の基準がぶれてしまうのでメンテナンスも非常に大変になります。


例えば、ネコかタヌキがよく判別できない画像だとどちらにタグ付けすれば良いのか困るなど、ですかね。


しかし、画像・テキスト・音声といった非構造なデータをタグデータを付けて機械学習等によって分類することで、これまでにない新たなアプリケーションがサービスがどんどん生まれています。


カテゴライズ系のメタデータも、これまで商品Aと商品Bを買っていたというファクトしかわからなかったところが、商品にメタデータがついていると、例えば高級商品をよく買っているとか、健康志向の商品をよく買っているということがわかるようになり、より顧客のインサイトが見えてくるといった可能性もあります。


とはいえ、こうしたメタデータは客観性という意味では、当然ながらログなどのファクトデータに比べると低いと思われますので、粒度や精度にもよりますが全面的に鵜呑みにしてよいものかというとそうではないかもしれません。


ただ、ゴミデータに新たな価値を与える可能性もあると思われるので、今後さらに注目が集まり、収集・管理されることも増えてくるかもしれません。


そうなったときに、冒頭で紹介したデータアーキテクトの役割はさらに重要なものになるのではないでしょうか。


呼び方やその他の関連職種との役割分担などは今後流動的に変わっていくかもしれませんが、メタデータの今後とともに引き続きウォッチしておきたい職種ですね。

udemyの動画講座作成の勧め

ブログのプロフィールのところに少し載せていますが、データ分析のオンライン学習動画を作成しました。


タイトルは「データ分析の基本的なやり方」で、元ネタは昔のブログ記事です。それをワークショップや演習問題をつけるなどしてブラッシュアップしてみました。


現在オンライン学習コースサービスのudemyで販売しています。


これまでデータ分析のスキルアップはどうすれば良いかとか、何か良いトレーニングのやり方はないか、などご相談を受けることが時々あったので作ってみました。


個別に相談者にコンサルティングしながらサポートすることも可能かもしれませんが、個別対応となると料金もそれなりにいただくことになってしまうので、こうした独習できるコンテンツを書籍くらいの価格で提供することで、わずかながらでも相談者のお役に立てるなら幸いかと思っています。


ちなみにudemyには動画コースをたくさん提供されていて、数万人以上の受講生を抱える講師の方もおられます。


udemyからの収入だけで十分生活していけるだけの方もおられるようです。


もちろんそうした方は一握りかと思いますし、そうなるまでには相当の努力や自己研鑽なども必要なのでしょう。


ただこうしたオンラインで動画学習コースを提供するビジネスというのは興味深いですし、今後も伸びていきそうな気はします。(今の時点でも世界中で3500万人の受講生がいるそうです。)


私も自分の経験をもとにしたデータ分析の学習コンテンツははたしてどれくらいニーズがあるものなのか試しにやってみようということでトライしてみた次第です。


お陰様で公開してから1か月ちょっとで、有料動画は15名ほどの方にご購入いただき、講師の収入としては90ドルほどとなりました。


コースの価格は高いものだと24,000円ですが、実際にはこうした定価で売れることはほとんどなく、udemyが時々行うセールやクーポンなどを使って1,200~2,000円くらいで購入される方がほとんどのようです。


講師の取り分も、その販売価格から諸々の手数料が引かれて手残りが決まります。


講師自身のプロモーションだと数%の手数料しか引かれませんが、udemy経由だと折半となりさらに販売形態によってアフィリエイトiTunesの手数料が引かれるなどすると、手残りは2割くらいになったりします。


※細かくいうとさらにそこから収益を受け取るためのPaypalや円に変えるなら為替の手数料も引かれるので、さらに手取りは減ります


そのためこれで稼ぎたいという方は、自分でプロモーションを頑張るか、相当のコース数を販売する必要があります。


ただ私自身はコースを提供してみて、実際に見てくださる方がおられたことや、参考になったなどフィードバックをいただけたことが非常にうれしかったです。


もちろん売上がたくさんあがったなら、それはそれでうれしいことですが、それとは異なる種類の喜びを得ることができたので、やって良かったと思っています。


もし自分のスキルや経験を誰かに伝えたいという方には、こうしたサービスはおススメです。


私も今後また別のコースを出したりするかもしれません。そのときはまたお知らせさせていただきますね。

データ分析の目的とは

データアナリストの中には、データ分析をしてもビジネスや業務に何も活かされなかったという経験のある人も多いと思います。


クライアントから依頼されたけれど、求められたのはデータ分析というよりも彼らの見たいデータをまとめるだけで、結果を報告しても特に何の意思決定もアクションもされなかったというパターンなどですね。


あるいはデータ分析を求められたけれど、目的がはっきりしないためにどのような分析をすれば良いかわからない、とりあえずこちらの想定で何らかの分析をしてみたがクライアントからはその結果を評価してもらえなかったというパターンもあるでしょう。


かくいう私もそうした経験はたくさんあります。


やはり多くのケースは、目的がはっきりしていなかったことが原因であると思われます。


ただよく考えてみると、目的は一応あるにはあったようです。


しかしそれを達成する手段はデータ分析なのか?というと疑問の残る感じです。


依頼者側の目的は、大体売上や顧客を増やしたいとか、業務を効率化してコストを下げたいといった類のものです。


その手段や方法となると、例えば広告を出すとか代理店を増やすとかリストラするとかであって、当たり前ですがデータ分析ではないでしょう。


とすると、データ分析の目的って何なのでしょうか?


ただし何のためにデータ分析をするのかというと、やはりビジネス面での目的達成のためとか業務に貢献するためということになると思うので、そうした目的と全く無関係というわけではないかと思います。


つまり依頼者側が達成したい目的ははっきりしているが、データ分析はそのための「直接的な手段」ではないということですね。


そのため、いわゆるビジネス目的や事業・業務の目的というものをもっと噛み砕いていかないとデータ分析の目的も見えてこないのではないでしょうか。


ここをせずにデータ分析に取り組むと冒頭のパターンに陥ってしまう可能性が高くなると思います。


顧客を増やすという目的をもった依頼者に単なる顧客分析を行っても、「で、それで?」と言われてしまうでしょう。


顧客を増やすために広告を出したのだがあまり増えなかった、改善するために原因を知りたいというところまで話が進んでいれば、「広告効果が低かった原因を明らかにする」という目的がたてられて、その手段としてデータ分析を行うというのはしっくりくるような気がします。


つまりデータ分析はビジネス目的を達成するための直接的な手段ではないので、その目的もビジネス目的そのものというよりは、「ビジネス目的を達成する手段を行う上での課題解決」ということになってくるのかと思います。


その課題とは、先ほどの例のようなものとか以下のようなものとかですかね。


・ビジネス目的を達成するための手段として複数の案があるが、どれが最も効果的なのか判断できない


・ビジネス目的を達成するための手段が思いつかない、ヒントや方針だけでも固めたい


こうした課題は依頼者が具体的に教えてくれることもありますが、依頼者の中でも必ずしも明確に言語化できていなかったりすることもよくあります。


データアナリストがヒアリングなどをする中で、具体化していくことも必要になるかもしれません。


こうしたことができるスキルや経験も、データアナリストには必要なのではないかと思います。

データ活用やDXがどこまで進んでいるかの現状診断

こうしてブログ等でデータ分析について情報発信していると、ありがたいことに無名の私にもご相談をいただくことがあります。


しかし、業務でデータ活用やDXなどを任されたけれどどうしてよいか困っているとか、データ分析のスキルを身に着けたいけれどどうしてよいかわからないとか、ざっくりしたレベルのご相談も多く、私としても相談者の状況や課題などが具体的にわからないため、なかなか回答が難しいということが何度かありました。


ふと最近、IT企業で昔プリセールスエンジニアをしていたときにも似たようなことがあったなと思い出しました。


ITシステムやソフトウェアなどを販売するときは、顧客にその特徴や良さだけをアピールしてもなかなか購入にはつながりません。


顧客の課題やそのときに困っていることが解決できるなどのわかりやすいメリットやそのとき購入すべき理由がないと検討の土台にものらないということがほとんどです。


しかしそうした顧客の事情については、ヒアリングしてもあまり詳しく教えてもらえないとか、顧客自身もよくわかっていないということがよくありました。


そこで、まず無償のアセスメントサービスを提案するということを行ったりしていました。


アセスメントサービスとは、顧客のシステム環境の現状の診断・評価を行うといったものです。


対応範囲は診断・評価までです。そのため、これだけでは問題解決には至りません。


そもそも顧客側は何か問題があると認識されていなかったり、具体的なところには気づかれていなかったりするので、本当に問題があるのかないのか、どこに問題があるのかはっきりさせるといった位置づけのサービスです。


例えていうと、病院でどこか悪いところがないか診断してもらえるようなものです。


f:id:custle:20210125111448p:plain


最初に問診票などでいくつかの質問に答えてもらい、それを元に詳しくヒアリングしたり実際に調査させてもらうなどして、診断・評価を下すという流れになります。


なお、DXについていえばいくつかのITベンダーやコンサルもこうしたサービスを提供しているようですし、IPA情報処理推進機構)でも自己診断が可能なサービスが公開されています。


IPAのDX推進指標 自己診断結果入力サイト


このIPAのサービスでは、最初に顧客自ら記入してもらう問診票も公開されています。(EXCELファイル)


記入した問診票を送信すれば、全体データと比較できるといったベンチマーク的な診断結果を返してもらえるそうです。


ただし自己診断で記入する項目は60個ほどあって結構多く、各項目もきちんと詳細に記入しようとするとなかなか大変そうです。


それでも2020年10月時点では約500社ほどのデータが集まっているようなので、結構すごいですね。


ただ9割以上の企業はDXにあまり取り組めていないようなので、そうした企業の診断内容がどのようなものかは気になるところですが。


しかし何はともあれまずはこうした現状診断を行っていないのであればそれに着手してみる、というのはおすすめです。


ただし、こうした調査では最初の問診票はどうしても全体的、網羅的になってしまうので、おおまかな課題箇所は見えてくるかもしれませんが、では次に具体的にどうすれば良いのかまでは面倒を見てもらえないようです。


ASIS(現状)はわかったけど、TOBE(あるべき姿)は自分たちで考えないといけないですし、ASISとTOBEのギャップをどう埋めればよいのかも通常は現状診断サービスだけで明らかになるものではありません。


民間のITベンダーやコンサルだとそこからが自社のご飯のタネになるので、TOBE像およびそこに至るギャップを埋めるために必要なこともサービスとして提案・対応してくれます。


とはいえ、彼らもビジネスなのでそのTOBE像は自社サービスを活用したものが基本形ですし、そちらに誘導する方向で提案してくるのも否めないでしょう。


そのためただ彼らに流されるだけでなく、彼らの提案内容と自社にとってのTOBEがきちんと一致しているものかどうか自ら見極めれらないと、当初思い描いていたDXとは異なるDXの形になってしまっているなんてことも起こりかねません。


またTOBE像は得てして抽象的な表現で表されることも多く、もっと具体的にしないとギャップをどう埋めれば良いのかわからないということもよくあります。


TOBE:デジタルを活用した新たな事業を創造する
TOBE:デジタルを活用して既存のビジネスモデルを変革する
TOBE:既存の業務をデジタル化する


ここは現状診断の延長で考えてみるのもひとつのやり方ですね。


新たなことを行うならば、その新たなことが具体的でないと進められないので、まずはできていないことをできるようにするという考え方です。


ある業務がデジタル化できていないなら、それをデジタル化する、などですね。


単にひとつの業務をデジタル化するだけならばDXとは言わないだろうという意見もあるかもしれませんが、そもそもその業務をデジタル化することでどのような効果や変革がもたらされるのかを検討して、優先度をつけた上で行えば、TOBE像が見えてくるケースもあります。


個人的におすすめしたいのは、KPIマネジメントです。


現状のKPIマネジメントがどこまでできていて、どこができていないか、あるいは課題があるかなどを明らかにすることで、目先のやるべきことが見えてきます。


KPIマネジメントがうまく回ると、業績指標が改善されるということなので、まずはこの土台をきちんと作ることがポイントではないかと思います。


またKPIはデータという定量的なもので計測できないと進められないので、優先すべきデジタル化やシステム化のところも見えてくるでしょう。


どこかひとつ中心(コア)となる部分を決めて、そこを足がかかりにするというやり方です。


そういう意味で、コアとなる部分の現状診断を徹底的に細かくやってみるというのも良いのではないかと思います。

実践的なデータ分析とは

実践的の意味


業務でデータ分析を行う人であれば、「実践的なデータ分析」ができるようになりたいと思う人もそこそこいるかもしれません。


ただ、実践的なデータ分析ってどういったものなのでしょうか。


まず、勉強や好奇心などで行うデータ分析ではなく、実業務の中で行われるデータ分析のことなのでしょう。


そして実業務として行われるということは、分析結果が他の人の役に立つとか他の業務に活かされるといった何らかの成果も伴うということなのかと思います。


ただ、データ分析を主として行う職業の代表であるデータアナリストの業務はというと、必ずしもデータ分析の仕事だけではなく、データおよび仕様の整備や、依頼されたデータの抽出・集計・加工、レポート作成および報告なども含まれます。


そしてこれらの業務も、実業務の中で必要とされて行われるものです。そういう意味では実践的なデータ関連業務ですね。


むしろデータ分析を行う職種であっても実際に行う仕事は上記のものなどがほとんどで、データ分析と呼べるような仕事なんてほとんどしていないという人たちもたくさんいるかもしれません。


データに対する期待値の上昇


昨今、データへの注目度が大きく上昇しています。


データは第二の石油とも呼ばれ、うまく活用できれば大きなリターンを得られるものと見なされている感があります。


実際は大半のデータが大した価値を生むことなく、ただ生成されて溜まっていくだけのようですが。。。


そのため、データを使っても大きな価値を生まない仕事や業務はあまり喜ばれない、というかがっかりされることもあるようです。


データの管理、整備、可視化、報告といった業務なども当然必要なものですし、それなりの経験やスキルも求められるものなので、軽んじられているということはないと思いますが、データに対する期待値とのギャップが大きくて、より大きな価値を生む仕事でないとなかなか注目されない、といったように感じます。


データを使って大きな価値を生むものとして代表的なのは、今だとDXとかAIなのでしょうかね。


実践的なデータ分析


データ分析も意思決定に影響するということで昔からそうした期待を持たれ続けてきました。


ただし、実際は単なる数値の報告でおしまいとなってしまうパターンが大変多いため、そうしたものと区別するために「データ分析の目的をしっかり決めよう」とか「仮説を立てよう」とか「課題を明らかにしよう」とか「ドメイン知識を身に着けよう」とか効果的なデータ分析につなげるための方法論などもあちこちで語られるようになってきました。


こうした中で、データを分析して価値につなげるといった事例なども増えてきた。。。のでしょう、おそらく多分。


ただ、機密情報なども含まれていたり、単なるプロセスのひとつでしかないため、あまり詳しい事例を見かけるのはまだまだ少ないですね。


そもそも意思決定といっても粒度は様々で、いち担当者が常日頃気軽に行う意思決定もあれば、経営陣が行う何十億何百億ものお金が動くインパクトの大きい意思決定もあります。


大きな価値をもたらすという意味では金額換算で測るとわかりやすいですが、実践的という意味では金額換算の値に関わらずやはり業務に使う(誰かの役に立つ)という観点が最低限あれば良いのかなと思います。


データ分析を業務として行う人の中にも、大きな価値を生まないと注目されないからそうした仕事しかしないといって、その他の仕事を受けたがらない人も時々います。


しかし余程の大御所とかならともかく、通常はコツコツ実践的な仕事を積み重ねて、時に大きな価値を生むような仕事に巡り合うといったことなのではないでしょうか。


といっても、言われたことを適当にこなすだけといった対応しかしないとなかなか実績として積み重なってはいかないでしょうし、大きな価値を生む仕事も任されない(任されても結果を出せない)でしょう。


小さな仕事でもそれなりの結果を出すことを意識し実践できていると、信用も蓄積されていくのではないでしょうか。


当然データの処理だけしかしなくて結果が出せるとも限りませんし、時にはあまりデータ分析とは関係のない泥臭い仕事も必要かもしれませんね。


データ分析ができるツールや人材が増えつつある中、専門性の高い知識を持つというのも差別化の一つではありますが、他にも差別化できる要素はあると思います。


実践的なデータ分析に取り組み、コツコツ積み重ねていくというのも、そのひとつになったりするのではないかと思っています。


昔とある業務にて、あまり注目されていなかったデータを分析して、そのレポートの使い方を地道に担当者にインプットし続けて、担当者がそれをもとに企画を考えてくれるようになったということがありました。


それほど特殊な分析手法を使ったわけでもありませんし、金額的な効果もおそらく大したことはなかったかと思いますが、個人的に手ごたえを感じたデータ分析の仕事のひとつだったなあと、ふと思い出しました。