データ分析の仕事って何するの?

#前提として私の知る範囲なので、全てこの限りではありません。


現在私の所属する会社では、会員ビジネスをやっています。会員を集めて各種サービスを提供し、対価を得ています。また社内ではこの会員をいかに増やせるか、また新規会員を定着させて優良顧客にできるかといった取り組みも適宜行っており、私はデータアナリストとしてそのための各種ログデータの分析およびプランナーへの提言等を行っています。


基本的には目的(会員数を増やしたい、など)を定量的に評価可能な形で指標を設計することと、そのために重要なKPIの策定および可視化とその分析になります。


前職ではソーシャルゲームの分析もやってましたが、ゲームユーザの利用の活性化のために、レベルデザイン、パラメータ設計、顧客分析など色々やってたので、題材は異なるものの内容は現在と似たようなものです。昔はデータアナリストといえばソーシャルゲーム業界に大部分がいるという状況だったので、こうした業務の方が元来のデータアナリストの仕事としては一般的なのかもしれません。


さらに以下のようなデータ分析業務の効率化のための業務も行います。(分析環境がよほどしっかりしている、ないしはそのためのエンジニアがちゃんといる企業でなければ、分析業務そのものよりもこうした業務の割合がどんどん高くなります。なかなか地味で泥臭い作業も多く含まれてます)

1.分析で扱うデータの整備
2.各種KPIを可視化するBIレポートの開発
3.データを活用する社内文化を醸成するための啓蒙活動
4.分析ツールや技術の動向調査と場合によってはツールのPoC


1.分析で扱うデータの整備


データウェアハウスの構築まではやりませんが、分析用のデータマートの作成は行います。

データの抽出や集計は頻繁に行うのですが、怖いのはミスです。ミスすると怒られますし、繰り返すと信用を失います。そのため複雑なSQLを都度一から書くよりはなるべく簡略化しておき、また人によって定義も変わらないように標準化されたデータマートを用意すると、データを扱う作業のクオリティが安定します。

合わせてデータの仕様やSQL上での定義なども間違いがないよう、自分で調査 or エンジニアに確認して、整理と明文化をしてメンバーに共有します。ちなみに私自身は過去にエンジニアもやっていたので、大本のデータウェアハウスや多くの人が使用する共通のデータマートの設計などにも関わっています。


2.各種KPIを可視化するBIレポートの開発


こちらも1と共通の理由として、業務部門から頻繁に依頼されるデータを都度抽出作業していると手間なのと、いつかミスするかもしれないので、BIレポート化(自動化)して誰でもいつでも手軽に確認できるようにします。

余談ですが、KPIを可視化するのは業務改善が目的なので、業務のことを理解している必要があります。具体的には、業務部門で目指してる数字(売上とかユーザ数とか)を、タスクに関連する形で因数分解できなければなりません。

例えばユーザ数を増やすために新規ユーザの獲得施策を実施しているのであれば、その施策の評価ができるように「新規獲得数」のデータを確認することは必要ですが、特に理由もなくユーザの性年代別構成比のデータを出して、もし仮に若い女性が少ないということがわかっても、狙いやそのための施策等と特に関連がないのであれば、So What?(だから何?)と言われてしまいます。

一方でユーザ数増加のための施策や関連する指標が設計できれば、定期的にモニタリングするためBIツールを使ってシステム化します。指標が変動すれば、いち早く手を打てるようにアラート機能を仕込んだり、深堀り分析を行えるようにあらかじめデータを分解できる切り口を仕込んでおくなどして、迅速に分析できる仕組みにするのも大切です。



3.データを活用する社内文化を醸成するための啓蒙活動


データ分析は専門家の仕事であると思われると、データに関する作業は全てデータアナリストのところに集約されてしまいます。そうなると非常に業務量が増えて一杯一杯になるので、なるべくそれを避けるためにも、社内のみんながデータ分析できるようまたそういう意識を持つように啓蒙活動をしています。そもそも企業の競争力を上げるという意味でも、社員みながデータ活用できた方が良いことは言うまでもないかと思います。

具体的な活動内容としては、社内セミナーやブログなどによる情報発信がメインです。自習用教材の開発やワークショップの開催などもやってます。扱う内容は統計学機械学習など専門性を要するものよりも、業務に必要な範囲の統計学マーケティングロジカルシンキングをなるべくわかりやすくアレンジしたものなどです。

なかなか全員に浸透するには時間がかかりますが、徐々に反応も増えている(と思いたい。。。)


4.分析ツールや技術の動向調査と場合によってはツールのPoC


これは自身のスキルアップや学習用でもありますが、社内環境に反映されることもあるので、結構重要です。

昔は分析ツールといえばSASSPSS(無償だとR)、分析基盤といえばRDBくらいでしたが、最近はソフトウェアベンダーやクラウドサービスベンダーが様々なサービスやツールをどんどん提供しています。分析基盤も分散環境がほぼ当たり前になってきたので、データ量が多かろうとさくっと処理できるようになってきており非常に助かっています。(過去にはパフォーマンスのためにどうSQLや物理設計を工夫するか悩んでいたこともあるので大分楽になりました。とはいえ、複数テーブルのフルジョインなどはなるべくしないようにはしてますが)

結構便利で低価格で使えるものも多いので、コスト削減や効率化のためにも新たな技術に対しては常にアンテナを高くしたいものです。

ただし、これら情報収集ばかりしていると単なるノウハウコレクターになってしまって、仕事をしていないと怒られる恐れもあるので、何らかの課題解決など目的を定めて知識習得やPoCを行う必要があります。

もっと自由に色々やりたい!という人は、ひょっとするといっそのことプロダクトに非常に詳しくなってベンダー側に転職するなど方針転換するのもありかもしれませんね。




また、うちは業務のひとつに広告媒体を扱う広告代理店業もやっています。クライアントに対して広告・販促に関する提案やコンサルティングを行います。

具体的には、商談(=案件)ごとに、広告の予算配分・ターゲット選定・効果検証の設計/実装などをクライアントにコンサルティング&実装します。その際に過去データを分析して、判断材料を提供します。

この仕事ではクライアント側の向き合いは販促担当とかマーケティング担当が多いので、マーケティングの知識は必須です。こちらは職種的にはデータアナリストというより、マーケターとかマーケティングコンサルタントと呼んだ方がしっくりくるかもしれません。マーケターの人がデータ分析のスキルを身に着けてキャリアアップしていくという流れもよくある話だそうなので、マーケティングに興味のある方は、こうしたキャリアルートを目指してもよいかと思います。



現在データ分析の仕事は様々な業界や業種で必要とされているので、人によって、立場によって(自社事業担当かサービス提供する立場か)仕事内容は結構変わるかもしれません。

ただ共通部分も多少はあると思いますので、データ分析の仕事って何するの?と疑問に思っている人の参考になれば幸いです。