顧客分析が求められる理由

顧客志向の経営


企業の経営戦略やビジョンの中に「顧客志向」やそれに類するキーワードを掲げているところはたくさんあります。


「顧客の理解を深めよう」「顧客の声により耳を傾けよう」「顧客満足度を上げよう」などといった方針が経営陣から現場に出されます。


それらに関連してか、顧客に関するデータ分析を求められたことのあるデータアナリストも多々いることでしょう。


経営層が顧客を重視すること自体は違和感はないと思いますが、ではどのような経営をすれば顧客志向や顧客重視になるのか?具体的な戦略な戦術といった詳細にまでどのように落とし込めば良いのか?ということは経営陣もおそらく頭を悩ませるところだと思います。


とりあえずそのための示唆を出すために、何か顧客分析をしろと言われて困った経験のあるアナリストもいるのではないでしょうか?(私はあります)


バランススコアカードを参考にした経営計画


経営の教科書のひとつにバランススコアカード(BSC)というものがあります。


経営計画を立てる際に、売上や利益といった財務指標だけではダメで、他に「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」からもビジョンと戦略を立てて管理するというフレームワークです。


企業の中期経営計画においては、このBSCを参考にされることが多く、中身に上記の視点に関する記述が出てくるのをよく見ます。


中でも顧客の視点に関しては、どの企業の中計でも似通った内容に落ち着いているのではないでしょうか。表現は多少異なれど大体は「顧客満足度を高める」といった傾向の内容です。


本来このBSCでは各戦略はKPIという定量的な指標によって管理されるようですが、一般に公表されている中期経営計画にKPIの記述まであるところは少ないので、BSCをKPI管理まで活用している企業はあまり多くないのかもしれません。


まあ公開していないだけで内部的にはKPI管理をしている可能性もあるのですが。。。


いずれにせよ、顧客志向という方針を立てるのであれば、具体的な戦略とその管理のための定量指標は必要です。


顧客分析も基本的にはその指標が現在どのような状況にあるのか進捗を管理することと、指標が見通し通りの進捗にない場合にどこが問題なのかを明らかにするために行うことになるでしょう。


しかし、顧客満足度を高めるという戦略を定量指標に落とすのはなかなか難しいと思います。


顧客満足度が高いというのはどういう状態のことをいうのか?そしてそれはどのようにデータとして客観的に把握できるのか?といったことを事前にしっかり定義しておかねばなりません。


例えば商品・サービスのシェアが高ければ、それだけ競合ではなく自社商品が選ばれていることなので顧客満足度が高いといって良いのか?


あるいはもっとシンプルにクレーム発生率や解約率などで顧客満足度を測れば良いのか?


また忘れてはならないのが財務的な目標(売上や利益向上)との兼ね合いです。例えば単純に利益度外視で商品やサービスの価格を下げれば顧客の満足度は上がるでしょうが、売上や利益向上にはつながらなくなり本末転倒になります。


なおバランススコアカードでは、顧客側の視点と企業側の視点の2種類があって、それぞれ顧客志向指標と顧客収益性指標と呼ばれます。


例えば前者はクレーム発生率などで、後者は顧客一人当たりの売上やコストなどがあたります。


財務的指標との関連性を重視する場合は、顧客収益指標が重視されます。が、顧客収益指標だけに着目するとコストを削るあまりサービス品質を低下させてしまうなど顧客志向に逆行してしまう恐れもあり、両方の視点でKPIを立てることが必要です。


長くなりそうなので次回顧客満足度の指標や測り方について考察してみたいと思います。