データ戦略の立て方

最近、大規模顧客を抱える企業・サービスの提携が進んでいます。


・ヤフーとLINE
・ドコモとリクルート
・ドコモとメルカリ
KDDIとローソン(w/Ponta


一番の目的は顧客数の大幅拡大で、提携によってお互いの顧客を送客し合うことが狙いでしょう。


ただ、個人情報保護法もあるので、顧客データを丸ごと相手に渡すということはせず、自社サービスを他方の顧客にプロモーションして、自社顧客登録を促す形になると思われます。


お客が顧客登録を行い会員になれば、企業は会員とコミュニケーションをとれるチャネルを持つことができます。


そのチャネルを使って、会員がまだ購入していない商品やサービスを勧めたり、しばらく取引が減少している会員のフォローを行い離脱を防止するなどして、会員のLTVアップを狙うことができるようになります。


特に通信業界などは顧客の奪い合いが日常化しているので、離脱率は重要なKPIとされているようです。


いかに顧客を囲い込むかを苦心してこれまではサービスの価格や品質で競合と差別化していたことが、お互いの企業努力でなかなか差別化が難しくなったために、「いかに顧客から離脱されにくくするか」にも注力せざるを得なくなっています。


アプリ一つで、様々な買い物から旅行の予約・各種支払いの決済・SNS・ゲーム・音楽や動画を楽しむなど様々なことができるようになる「スーパーアプリ」という言葉も誕生していますが、これも企業側からすれば顧客に便利さを提供するとともに、他のサービスに簡単に乗り換えにくくする囲い込み戦略のひとつなのでしょう。


また昨今多くの会員が集まるプラットフォームは、外部の企業からも広告の出稿先として魅力的に映るため、広告媒体(メディア)としてのビジネス価値も向上します。


グーグルなどは正に売上の大部分が広告収入で利益率も非常に高いことで有名です。


そのため、最初は利益を度外視して多額の費用をかけてでもまずは会員を大量に獲得することから始めようとする戦略の企業も散見されます。


こうした状況を見ていると、昔はいいものを作れば売れるというプロダクトアウトの戦略が主流だったのが、顧客の多様化からニーズに合ったものを提供するマーケットインの戦略に代わり、今は顧客を集めることが重視され、そのコミュニティの構築・維持・拡大の戦略にシフトしているような気がします。


もちろんその上で、個々の顧客のニーズや満足度を満たすにはどうすれば良いのか、新たなニーズを満たすような新商品を開発できるかなどの戦略を考えることも引き続き必要だと思います。


一方でデータをビジネスに活用するために、データ戦略として、データを集める、整備することに取り組んでいる企業もいます。


それはそれで重要なことで、最初に紹介した大規模提携を行っている企業でも取り組んでいることだと思いますが、大局的な視点ありきの戦略であるかどうかは重要なポイントではないでしょうか。


ただデータを集めて整備して、あとそれを分析するだけでは売上は増えないので、まずはビジネス拡大につながる絵図をきちんと描いた上で必要なことを見極めて実践することが大切だと思います。