ヤフーとLINEの経営統合に伴うデータ分析環境

11/18にヤフーとLINEの経営統合が発表され、色々な関連ニュースが飛び交ってますね。


各社のユーザにとっては、この経営統合によって主に利用サービスがどう変わるのか、あるいは変わらないのかは気になることと思います。


私としてはデータ分析視点でどう変わるのか想像してみたいと思います。


※なお私は両社の関係者ではないので、あくまで勝手な想像に過ぎないことはご了承ください。


統合というものの範囲や領域がどこまでになるかはまだ不明ですが、データの統合もある程度は進められると思われます。


データを統合する上で、起点となるのは会員のIDです。


ユーザIDの紐付けと統合


まず最初に行われるのは両社のアカウントを持ってる会員の紐付けだと思います。


例えばAさんが元々LINEとヤフーのユーザであった場合、それぞれのIDが発行されています。


LINEやヤフー側は統合によってそれらIDデータ(およびその各種ログ)を入手できますが、それぞれのIDからそれが同じAさんのものであるということは通常わかりません。


各社の個人情報等のデータから同じ人であるかどうかの突合せはできないことはないかもしれませんが、情報が不十分であったり不確実である可能性もあります。


間違って別の人がAさんのデータを参照できてしまうようになったりすると大問題なので、多分同じ人であろうという推定で判断するわけにはいきません。


ではどうするかというと、Aさん自身に自分の持つLINEのIDとヤフーのIDは同じものであるという紐付けを実施してもらうことになると思います。


ユーザにとっては少々面倒な作業なので、おそらく何らかのインセンティブを付けて紐付けを推進するキャンペーンが実施されるのではないでしょうか。


もし紐付けができれば、LINEとヤフーで共通のユーザID(のようなもの)ができたということなので、個人情報の管理やポイントサービスなども共通化され、まとめて使えるようになるかもしれません。


ただし、これだと元々LINEとヤフー両方のサービスを利用していた会員しか対象になりません。


折角なのでこの機会にお互いの未会員も取り込みたいでしょうから、LINEしか使っていない人にはヤフーのアカウント作成を、ヤフーしか使っていない人にはLINEのダウンロードとアカウント登録も積極的に狙っていくと思います。


というか、この取り組みによってそれぞれの会員数を増やしたいというのが両社共通の第一目的でしょう。


ログデータの連携


そして、IDの紐付けができれば、データを連携することが可能になります。(もちろんユーザ側の許諾を得た状態が前提ですが)


例えば、最近LINEで最新家電について会話していたAさんが、実際にヤフーで家電について検索を行っていたり、あるいは実際にヤフーショッピングでその家電を購入していたかどうかまでわかるようになります。


これを1つのSQLで検索できれば、データアナリストにとっては大変便利でしょうね。


ただ、それができるにはデータの管理環境の統合まで進める必要があるので、それなりに時間がかかることでしょう。


また、さらにお互いの広告媒体にお互いのログを活用したレコメンドを実装するのも、それなりの時間がかかると思いますが、いずれできるようになるのを目指すと思います。


お互いのデータの活用方法


データがどのように活用されていくのかについては、新たなデータが増えることでこれまでにない分析が可能になり、そこから新たなサービスや機能が開発されていく、なんてことは理想ではあります。


ただ、基本的には会員数拡大が事業としての第一目標と思われるので、会員数拡大に向けてのサービスやインフラの統合がまず進められていくことと思われます。


その際にログデータも連携されるようになることで、新たなデータ活用を行うというよりは、これまでのデータ活用をさらに推し進めていく方向がまず基本でしょう。


おそらくこれまでも広告のターゲティングなどは行われていたでしょうから、それがログデータの量や種類が増えることで、さらに強化されることは想像されます。


特にLINEのチャットデータとヤフーの検索データは、それが統合して使えるとかなりの部分でユーザのその時点での興味・関心の方向性がとらえられるようになるのではないかと思うので、非常に有用性が高いことでしょう。


また、より両社のサービスをユーザに利用促進させるために、両社のサービスを使ったほうがお得であるという仕組みもどんどん開発されていくことでしょう。


基本的には、キャンペーンやポイントサービスなどでインセンティブがどんどんばらまかれる方針かと思いますので、行動経済学が好きな私としては、どれくらいのインセンティブをどのように宣伝すれば、どれくらいの会員がサービスを使ってくれるようになるのか、その塩梅の分析などは非常に興味があります。


ついでにユーザの需要喚起の起点として、友人たちとのチャットなのか、検索ワードなのか、それらは商品・サービスごとにどのように異なるのかも調べてみたいですね。


例えば「タピオカ」が流行っているのは、口コミ等で広がったのか、何かのニュースやWebサイトなどがきっかけなのか、また広がり方はどのようなパターンなのか、「タピオカ」以外のものだとどう広がるのか、など。


まああくまでデータの統合が進んでからの話ですが、特にヤフーでは検索データを使って選挙の予測など行われていたりするので、こうした研究のような分析もある程度独自に進められていたりするのかもしれませんね。


今後、両社から新たにデータや分析に関するニュースリリースや事例などの発表にも注目して期待したいところです。