データ分析の失敗事例その3

今回は先々週に書いてたデータ分析の失敗事例の続きです。

分析結果が採用してもらえなかった


前回の「分析しただけで終わってしまった」とは少し似て非なる失敗です。


こちらは、分析目的は明確であるがそれを達成するのに十分な分析ができてなかったというケースです。


ふたつのケースがあるかと思います。


ひとつは分析設計が怪しい(間違っている)という場合です。


過去記事でもよく述べてますが、比較を行うときのコントロール(対照)設定は分析経験の少ないアナリストであれば非常に間違えやすいので、クライアントにある程度知見のある人がいると、怪しい分析設計は見抜かれてしまいます。


また、アナリストは分析をする際にデータが見れる分、細部にこだわってしまう傾向が見られるので、本来の目的とずれた分析をしてしまうことも時々あります。


例えばとある施策の効果を検証するのに、ある会員セグメントには効果があるが別の会員セグメントには効果がなかったという分析結果を報告して、そもそも肝心な施策全体としての効果を算出していないなどです。(木を見て森を見ずのイメージ)


あるいは施策全体で見たときに効果がなかったために、それで報告が終わると宜しくないと感じたのか、どこかに何らかの効果がないかデータマイニングに走ってしまい、誰も求めてない効果検証をしてしまうなどもよく見ます。


そもそもクライアントが求めているものを提供できていなかった場合は、当然それが採用されることもありません。


もうひとつのケースは伝え方の問題です。


分析結果をまとめた資料が分かりにくい、分析結果を報告するプレゼンが分かりにくいと言われてしまったという経験も多くのデータアナリストがしていることでしょう。


専門用語をわかりやすい言葉に翻訳せずにそのまま使ってしまったり、論旨の展開がきちんと整理されていなかったり、一枚のスライドに多量の情報やデータを詰め込みすぎて見づらかったり、グラフや表の見てもらいたい点にマークがついておらずにどこを見ればよいか気づきにくかったり、結論までに非常に回りくどい説明を延々と続けてしまって前の話を忘れられてしまったり、定義が定かではない抽象的な言葉を連発してしまったり、話に抑揚がなく伝えたいポイントとそうでないポイントが見分けにくかったり、、、、。


きりがないのでこの辺でストップしておきましょう。


分かりにくいと言われてさらに詳しく説明しようとして、より一層相手を混乱させてしまうというドツボにはまる場合もよくあります。


このような場合では、クライアントが分析結果をしっかり理解できていないため、当然次のアクションにもつながりません。クライアントにきちんと伝わっていないのであれば、十分な分析ができているとは言い難いのではないでしょうか。アナリストだけが理解している状態で終わるのではなく、クライアントや第三者にも理解できるような形に整理するところまでがデータ分析の役割ではないかと思います。


こうした課題は本人ではなかなか気づきにくい点も多いので、なるべくなら事前に誰かにレビューしてもらうのが良いのですが、なかなか簡単に改善できることでもないので、慣れるまでのそれなりの時間の事前レビューが必要になります。


時々チーム内でワークショップなどを行い、お互いレビューし合うなどの取り組みもおすすめです。


なお、クライアントから依頼された場合ならともかく、アナリスト側から提言を行おうとする場合などは、より一層分析結果を聞き入れてもらうハードルは上がります。


根気よく説得しようとしてもなかなかアウトプットを理解してもらえず結局諦めたとか、データで示しても納得してもらえず話を脱線させてうやむやにしようとされたなどの失敗を私も経験してきました。


このようなケースでは感情的になったり精神的に未熟な部分が原因という面もあるので、冷静かつ根気強い、でもこつこつ正確にこなせてマメで流されにくい人なら成功確率が上がるのかもしれません。自分もそうした精神面での成長は引き続き必要だと感じます。


あと余談ですが、データ分析の専門家という立場にいると、クライアントを含めその周りにいる人たちは自分よりも知識が少ないと見下してしまいがちな人も時々見かけます。そうした人たちが明らかに知らないであろう専門用語をあえて使ったり、専門家の自分が言うことは全て正しいと口を挟む余地も与えないような言い方をしたりされてます。自らの専門性に自信があるならまだましなのですが、素人よりも少し知識があるという程度でそうした振る舞いをしてしまう人もいました。そのような人は自分よりも経験者の前と未経験者の前で態度が180度変わるので、見ていてドン引きでしたね。


いずれにせよそうした傲岸な態度でいると失敗したときにより一層恥ずかしい思いをしますし、信用を一気に失いかねません。


データアナリストも人間なので100%間違いはないとはいえません。クライアント等仕事で関わる人たちの中にも、自分よりも知見のある人や自分では気づかなかった点を指摘してくれる人がいることもあります。一緒に仕事をする人には、いたずらに専門性をひけらかすようなことはせず、敬意をもって向き合いたいものです。


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