データ分析の失敗事例その2

前回に続いて他の失敗事例の紹介です。

分析しただけで終わってしまった(次に何もつながらなかった)


これもよくある失敗事例かと思います。むしろこの経験のないデータアナリストなどいるのでしょうか?いや多分いないw


原因として非常に多いのは、「目的」がないままとりあえずデータ分析にとりかかってしまったというパターンですね。


クライアントと目的とすり合わせができていないとこの失敗に陥りやすいです。以前の記事でも書きましたが、クライアントは通常何らかの意思決定やアクションを行うに当たって、どのようなデータがあれば判断できるのか、そのデータの具体的な定義はどういうものか?にまで落とし込んだ状態でデータアナリストに依頼していくるということはほとんどありません。たいていは、例えばこんなデータがあれば何か気づくかも?とか何か役に立つかも?といったふわっとしたレベルで依頼をしてきます。仮説すら立てていない状態ということも少なくありません。


一応は何らかのリクエストが飛んでくるので、真面目な人ほどその依頼がそもそも必要なことであるのかどうかを確認するなどよりも、まずは依頼にきちんと対応しようとするのではないかと思います。特に依頼者がえらい人であったり、他部署のあまりよく知らない人であったりすると、なかなか「この依頼の目的は何なのでしょうか?」とか「そもそもなぜこうしたデータ/分析が必要なのでしょうか?」といった質問もしにくいのではないでしょうか。


もし仮に踏み込んでそうした質問をしたとしても、「とりあえずデータを出しさえすればよい」「必要だから依頼しているんだ」といったようなことを言われ、依頼事をごり押ししてくる人も少なからずいます。そうなるとより一層、躊躇してしまう受け身型のアナリストになっていってしまうことさえありえます。


私の場合はそのようなクライアントに対しては、2パターンの対応をします。1つはそれでもあくまで目的のすり合わせを行うことを主張する、もう一つは諦めて言われたことだけをやるというものです。


元々なるべく依頼された分析やデータの必要性についてクライアントとまず最初に議論し、本当に必要なデータや分析はどういったものかを明確にしてから作業に取り組むようにしたいと私は考えており、実際にそうしているので、前述のような最初の議論をしようとしない人々に対しても、まずは1のパターンの対応を試みます。


ここで非常に重要なのは、最初からけんか腰になったり相手を詰めている風に思われてしまうと、相手もより意固地になったりするので、言い方はマイルドになるように気を付けます。(以前はちょくちょくこちらも感情的になったりして、ヒートアップしてしまう失敗もよくやらかしましたw)


言い方や説得の仕方で相手を納得させられれば、「目的のすり合わせ」に到達できます。できない場合は自分の対応の仕方に課題があるのではないかと思って、どうすればうまく相手の理解を得られるかを考えて、コミュニケーションスキルの向上に取り組めばなんとかなる類のものかもしれませんね。


しかし世の中には、多少のコミュニケーションスキルでは如何ともしがたい聞く耳をもたない人たちもおられます。そのような人たちに納得させるには、優れたコミュニケーションスキルを持っているデータアナリストであれば問題ないかもしれませんが、自分ではなんともならないと感じると、諦めるのもひとつの手だと思ってます。そのようなことに労力をかけるよりもさっさと依頼に応じて次の仕事にとりかかったほうが生産的な場合が多いので、ある程度そうした割り切りや妥協も必要なことなのかもしれないと思います。


2つめの割り切りや妥協は失敗事例と呼んでもよいものかどうかは微妙ですが、最初のコミュニケーションの工夫は失敗が起こりやすい分野です。データ分析人材は分析スキルさえ高ければ良いというのではなく、そのスキルを活かす場や環境があってこそなので、そうした環境にたどり着く、あるいはそうした場を手繰り寄せるにもスキル・努力・運などは必要です。分析人材だけでビジネスは回りません。うまく他のメンバーとコラボレーションできるスキルも必要性を感じる場面は多々あります。最もそれは分析人材に限らずビジネスマン全般に言えることですけどね。