データ分析ビジネス

データ分析ビジネス


ビジネスにおける一般的なデータ分析は、そのビジネスの改善のために行われます。


データ分析を行うことで、そのビジネスの現状、課題などを明らかにし、次にどうすれば良いかのヒントを探るという使い方です。


ただし、そのためにはデータ、分析システム、分析人材などが必要です。


昨今では多くの企業でデータ活用の取り組みが行われており、データ分析に全く関心のない事業会社の方がむしろ少数ではないでしょうか。


しかし、そうしたデータ活用に取り組む企業がすべて上記の準備を備えているとは限りません。


そこで、彼らがデータ分析を行うことができるようにサポートすることをビジネスにする企業もたくさん登場しています。


データに関するビジネス


データに着目すると、まず思い浮かぶのはデータそのものを販売するビジネスです。


通常は自社のビジネスに活用するのは自社で蓄積しているデータが主となりますが、自社以外のデータに対するニーズもかなりあるようです。


他社を含むマーケットの動きを知りたい、顧客についてもっと多くのデータを集めて詳しく知りたい、といった場合に、様々な企業や顧客のデータを幅広く集めてそれを販売している企業に声がかかります。


販売されているデータとして代表的なのは市場調査データ、小売業のPOSデータ、地理データなどでしょうか。


最近はスマホアプリのマーケティングのためにダウンロード数や収益などのデータを有償で提供するといったサービスなども利用者が増えているようです。


個人情報保護法によって個人に紐づくデータには当然制限がかかるので、何でもかんでもデータを販売できるというわけではありませんが、データは一度収集すればデジタルで劣化しませんし、コピーが可能なので大量販売のコストは非常に低くなります。


ニーズの高いデータを所有していれば有望なビジネスになり得るでしょう。


日本ではデータの流通が促進されるように「情報銀行」という制度も数年前に導入されました。


ただ、まだまだ認定企業は少なく、GAFAのような巨大な顧客とそのデータを保有している企業は誕生していないので、正直この分野の今後は未知数ですね。


(データ販売というより、多くの会員を抱えて彼らに広告配信するなどのプラットフォームビジネスなら結構有望かと思います。会員数拡大のために企業の合併や協業などは日本でもどんどん増えているようですし)


またもうひとつ、データをデジタル化することでビジネス化するというケースもあります。


自社が所有するデータであってもそれが紙の書類であったり、適切に管理されていなかったりすると、それらを分析等にて再利用できないという問題も各所で起こっています。


業務そのものがシステム化されていなかったり、あるいは分析等にて再利用することを前提に設計されていなかったりするのが原因です。


今そうした業務のデジタル化が急務として声高に叫ばれています。


DX(デジタルトランスフォーメーション)はバズワード化されてITベンダーにとって大きな市場となっています。


DXでは主に業務をデジタル化することで人的コストや時間的なコストを削減するのが主目的かと思われますが、業務のログデータを再活用することで、業務の改善につなげたりマーケティングや戦略・企画立案に活かしたりすることも可能になります。


そのためこうしたDXを推進するサービスを提供したり、あるいはSansanのように名刺データをデジタル管理できるサービスを外向けに提供したことで大きく業績を伸ばした企業もあるので、デジタル管理できていないデータをデジタル化して収集することにビジネスチャンスを見出す企業は今後も増えてくるのではないかと思います。


分析システムに関するビジネス


次にデータ分析を支えるシステム面でのビジネスです。


こちらはデータ分析基盤を構築するシステムインテグレーションのサービス、それらの一部となる様々なソフトウェアやツールの販売などです。


SIer、ITベンダー、コンサルファームなどが既にビジネスとして市場を形成しています。


分析基盤やソフトウェアも色んなものがあるので、自社開発したり、利用者の多いものを活用したり、各社それぞれ色を出しているようです。


最近よく使われている基盤はやはりGCPAWSでしょうか。クラウド環境もだいぶ増えてきているようです。


またデータを活用した業務をアプリケーションサービスとして提供する企業もあります。


MA(マーケティングオートメーション)、CRM(顧客管理)、SFA(営業管理)、DMP(データ管理プラットフォーム)、SCM(サプライチェーン管理)などです。


もともとは業務用のアプリケーションですが、データ活用した機能強化などもどんどん図られているようです。


様々なレポート提供やアドバイザリー機能などは有用ですし、今後の業務システムでは生成されるログデータを再利用した分析関連の機能はほぼ必須になってくるのではないでしょうか。


各種業務システムにどのような分析機能を組み込むのが良いか、といった方向でのマーケットの成長も今後見込めそうな気がしています。


分析人材に関するビジネス


次に人材に関するビジネスです。


データ分析を行う人材がいない、あるいは足りていない企業に対して、データ分析に知見のある人的リソースを提供するという人材ビジネスは既に大きな市場となっています。


データサイエンティストが流行し出したころから、長年に渡ってデータサイエンティスト自体とそれに関連する職種、データアナリスト、エンジニア、プログラマ、コンサルなど幅広い職種が多くの企業で常に不足しているようです。


自社に足りていない機能を補ったり、あるいはデータ分析業務を丸投げしたり、あるいはプロジェクト単位でチームを組んだりと用途は様々で、多くの企業でそうした人的サービスが利用されています。


またデータ分析人材を自社内にて育成するためのサービスも多くみられます。


有償の研修、教育、セミナーなども色んなところで開催されているようです。


これらの育成サービスはあらかじめカリキュラムや内容が決められているものが一般的ですが、コンサル企業などではクライアントの要望に応じてカスタマイズした内容を提供することもあるようです。


また分析ツールを提供している企業では、そのツールの使い方などを教育メニューとして販売しているケースもよく見ます。


今はWebやブログで個人がノウハウを無償公開したり、無償のチュートリアルやトレーニングツール、書籍(有償ですが価格は安い)などのコンテンツも充実してきていますが、やはり人から教えてもらう方が理解しやすい/続けられるとか、書籍等に載っていない話を聞きたいといったニーズもなくならないため、今後も有償の教育サービスはある程度需要が続いていくでしょう。


そういう意味ではデータ分析のマーケットがなくならない限りは、こうした教育サービスもビジネスとして安泰なのかもしれません。


最後に


とりあえず思いついたデータ分析に関するビジネスを色々と紹介してみましたが、私の知らないものや見過ごしたものもまだまだあるかと思います。


またネタが増えれば続きを書くかもしれません。


データ分析のマーケットは、今後の自分のごはんのタネになるかもしれないので、これからも多種多様化および拡大していってもらいたいものです。