定性的な分析

定性的な分析は、よく定量的な分析とセットで語られます。


定量的な分析のほうは数値で表す分析で、定性的な分析は数値で表せない分析のようです。


前者はイメージしやすいと思いますが、後者はちょっとわかりにくいですね。


後者の例としては、アンケートの自由記述やインタビューのデータを使った分析のようです。


商品/サービスを購入した理由を聞いたり、不満点やどう改善してほしいかを聞いたり、元々データとして取得しづらい情報を収集してそこから特徴を抽出します。


それらは回答者の主観が多分に含まれており、また表現も不統一であいまいであるという一方、想定外の結果や意外な結果を得られる可能性も高いと言われています。


定量的な分析は客観的な結果を導けて汎用性が高い一方で、定量的なデータがないと実施できないという制限があるので、お互い補完関係にあるとみなされていたりもします。


私も両者は補完関係にはあると思いますが、どちらか一方で完結するとか使い分けるという風には思っておりません。


大体のデータ分析において両方とも必要だと感じています。


データが十分でない場合、特にどのようなデータを集めればよいのか困っているならば、アンケートやインタビューなどの手段でデータを集めることになると思います。


そしてテキストデータそのままだと客観性に欠けるという課題もあるので、可能であればなるべく有用なデータ項目として取り扱えるように集まったデータの表現を修正・統一し、それをもって再度自由回答ではなく選択式のアンケートをとるなどして、より定量的に取り扱いやすいデータとして収集します。


そうしたデータはファクトをベースとした履歴や取引のデータほどバイアスのないデータとは言えないかもしれませんが、分析するのであればなるべくそれに近い形にする努力はあったほうが良いでしょう。


最終的には数量データに落とし込んで客観的な形でまとめないと分析としては使えないので。


自由回答のテキストデータを品詞に分解して頻出語を文字サイズの大小でビジュアルに表現する、などテキストマイニングツールの機能でよくありますが、そのスクリーンショットをレポートに貼り付ければ分析完了とはなかなかいきません。


そもそもアンケートの自由回答にせよインタビューにせよ十分な母数がとれているのか、その他の非回答の方の意見は無視して良いのかも懸念ですし、ある言葉が多いことは分析の目的やそのための情報として何を意味するのかもしかるべき解釈ができないと意味がないでしょう。


定性的な分析はそれ単体で完結するということはあまりなく、最終的に定量的な形に整理して分析する必要があります。


また定性的な分析は、その言葉の意味から分析対象の「量」でなく「性質」を明らかにする分析とも言えます。


フレームワークを使う分析も定性分析の一種ととらえてよいかと思います。


例えば、ある商品が売れた理由を分析する際に4P(Price / Product / Place / Promotion)のフレームワークで仮説を整理するなどのイメージです。


フレームワークを使うと仮説や分析項目の漏れを防げたり、類似や重複をまとめられたりするので、より客観性も高くなります。


以上のように必要に応じて前段階で定性的な分析が必要となるケースも多く、やっぱり両者は補完関係にあるのではないかと思ってます。


そしてデータアナリストにも両方できるスキルが必要とされるでしょう。


ちなみに定性的な分析のスキルアップには、ドメイン知識を身に着けたり、フレームワークを使いこなせるようになったりが必要と思われますが、分析の目的に沿って定性的な情報を定量的なデータに変換できるところが一番肝だと思うので、机上だけではなくある程度の経験も必要です。あまり焦らずじっくりスキルアップしていきたいですね。