今回はギャップ分析を紹介したいと思います。
データ分析ではよく行うものですが、あまり語られることも少ないようなのでトピックとしてとりあげてみました。
ギャップ分析とはその名の通り、「ギャップ=大きな相違、隔たり」を分析して明らかにすることです。
主には課題の解決やあるべき姿を目指すなどのために、ASIS(現状)とTOBE(あるべき姿)を明確に定めてその違いをきちんと把握することで、TOBEに至るためには具体的に何が必要かを明らかにすることです。
例えば、現状の年間売上が10億円(ASIS)、来年の目標が年間売上15億円(TOBE)だとします。
もし営業マン一人当たりの年間売上が1億円だとすると、ASISは営業マン10名ですが、TOBEに至るには営業マン15名必要ということになります。
そうするとあと5名の営業マンが追加で必要ということがわかります。
にも関わらず、そもそも採用予算は2名分しかないから足りない分は個々の努力でなんとかしろと言われてもギャップが解消できるか可能性はおそらく高くないでしょう。
実際は売上に影響する他の要因や教育やコストなど様々な制約もあるでしょうから、上記はあくまで営業リソースだけでシンプルに考えた例です。
また、営業マン一人当たりの年間売上1億円というのがあまり変動のない数字であるならば、営業マンにもっとハッパをかけたり、もっと顧客回りを増やさせるといった手段はあまり効果がない可能性が高いので、ASISIに至るためのより適切な指針を見極める意味でもギャップ分析は有効です。
ギャップについてはどういった要素がその原因となっているかはわからないので、なるべく多くの仮説やデータを使って多角的に調べることが必要になります。
TOBEが未知の状態だとするとデータを入手するのもシミュレーションするのも限界があるので、データの存在する過去事例を参考にするのもありかと思います。
マーケティングでよく扱われるギャップの題材としては、優良顧客と非優良顧客、好調時(不調時)の売上と平時の売上、よく売れる商品とそうでない商品、などでしょうか。
優良顧客を増やすにはどうするか、好調時(不調時)の売上の要因は何か、売れる商品を開発するにはどうすればよいかといったことのヒントを探したい場合などに行ってみたりします。
注意点としては、よく言われることですが相関関係にまどわされないことですね。
例えば優良顧客と非優良顧客のギャップを分析する際に、優良顧客は非優良顧客よりも来店頻度がN回高いことがわかったから、非優良顧客を優良化するには来店頻度をN回増やせば良い!と言っても、それは優良顧客だから来店回数が多いので、分析するまでもなく自明なことだったりします。
なぜ優良顧客は来店頻度が高いのかを考えて、初回訪問時にその後のリピートにつながる何らかの要因があるのか、来店きっかけやチャネル、利用サービスなどに差があるのか、などを分析してみるほうが因果につながるギャップが見つかるかもしれません。
データはあるけど何を分析すれば良いのかわからない、分析テーマの設定が苦手、なるべく業務に活かせる分析がしたい、などでお悩みの方は一度こうしたギャップ分析をしてみるとか、それができそうな題材を探してみるのもよいかと思います。