100万円もらうよりも50万円もらう方を選ぶ人たち

行動経済学プロスペクト理論というものがあります。人は得をするよりも損する方を嫌がるという心理です。


例えば100%の確率で50万円もらえる場合と、50%の確率で100万円もらえるならば、期待値は同じでも人は前者を選びやすいというものです。


また逆に100%の確率で50万円損する場合と、100万円損することが50%の確率で免れるならば、今度は後者が選ばれやすくなります。


こうした理論をマーケティングに活かすとなると、例えば「10人中1人にプレゼント!」よりも多少価値は下がるものでも「応募者全員にプレゼント!」とか、「今週登録してくれれば年会費無料!」のように損失回避を促すようなものなどが挙げられるでしょうか。


なお、得をすることと損失を回避することも程度の差があり、およそ2~2.5倍になるとバランスがとられるそうです。先ほどの例でいえば、100%の確率で50万円もらえる場合と、50%の確率で200万円もらえるならば、後者を選ぶ人も増えてくるということですね。


このような行動経済学の理論は、上記の例のほかにも昔から色々と各種マーケティング施策などに利用されるものが多く、多くの事例もよく聞こえてきます。私自身現職や前職でも、今から考えるとこうした理論に則った施策だったなというものも思い当たりますし、今でも企画を考える際のヒントにもなったりします。


さらにデータ分析という観点でいえば、後付けの理由に使うこともあります。


つまりデータ分析の結果からこういう施策をした方が効果的と考えられるということを報告しても、それが企画者(または上長)の腹落ちしやすい内容でなければなかなか簡単には受け入れてもらえません。


本来はデータという定量的な意思決定材料を示しているので納得しない方がおかしい気もするのですが、人は感情があるので簡単には納得しないものです。下手すると、データの集計が間違っているのでは?と疑われて何度も確認させられることすらあります。


そこでその分析結果を受け入れてもらいやすくするために、行動経済学の理論を活用させてもらうというわけです。


これは既にえらい人が実証済の理論であるので大丈夫!

学者や研究者も同じ傾向のことを言っている!

実データでも確かにその傾向は確認できた!


というと、分析結果にハクがついて話を聞いてもらえるようになることがあります。ちなみに、このような動き方自体にも理論の名前がついていて、ミルグラム効果とか権威への服従(そのまま!)というそうです。様々な役立つ理論の中でも、ひょっとするとある意味このミルグラム効果がデータ分析の世界では最もよく使われる理論なのかもしれませんね。