顧客単価を上げるためのデータ分析とドメイン知識

データ分析をしても、なかなかその結果が業務に活かされなくてジレンマを感じるということはないでしょうか。


特にクライアントが見たいデータを集計して返すだけといった業務に慣れてしまっていると、とりあえず仕事をした感はあると思いますが、成果という意味ではなかなか手ごたえを感じるのは難しいことが多いかもしれません。


業務側の何らかの課題解決につながったとか彼らの目的達成に貢献したなど、わかりやすく目に見えた成果を求めたい気持ちはよくわかります。


今回の「顧客単価を上げたい」というのは一つの例ですが、業務側がこうした目的をもって販促等に取り組んでいるとしたら、データ分析側はどのような支援が可能でしょうか?


まずは現在の顧客単価がどうなっているのかデータで示すことは可能ですね。


何らかの顧客の分類があるのであれば、その顧客セグメントごとに単価やそのばらつきを見てみると特徴が見えてくるでしょう。


また時系列推移をみることで、顧客単価が安定しているのか、変動しているのかも知ることができます。


ただし、それだけではどのようにすれば単価アップできるのかといった案を出すのは厳しいのではないでしょうか。


そもそも顧客単価はデータ分析をするだけでは上がらないものです。


顧客単価を上げるためには、一般的にはクロスセルやアップセルの施策を行います。


クロスセルは、ある商品を購入しようとしている顧客に抱き合わせで別の商品も買ってもらおうとすることです。


アップセルは、より高額な上位の商品に乗り換えてもらうことです。


クロスセルなどは色んなところで行われています。有名なのはECサイトで「この商品を購入しようとしている人はこんな商品も購入しています」とレコメンド表示をしたり、ファストフード店で「ご一緒にポテトもいかがですか?」とおすすめしたりするものですね。


こうしたクロスセル施策の効果をさらに上げるためのデータ分析を考えてみる、となるとどのようなデータ分析をすれば良いかもう少しイメージしやすくならないでしょうか。


レコメンドだと協調フィルタリングなどを使って実装されていることが多いようですが、さらに様々なチューニングをして併売率を上げられないかなど考えられるかもしれません。そもそもレコメンドをしてないなら併売されやすい商品リストを作ってレコメンド施策の提案をしてみるのも良いかもしれません。


アップセルはなかなか難しいかもしれませんが、アップセルした顧客の要因を調べることで、どのようなレコメンドをすればアップセルが成功しやすいかが見えてくるかもしれません。


クロスセルやアップセル自体は知ってる人も多いかと思いますが、実際にマーケティングの現場などでそれが実施されていることを意識すれば、現場の目的や課題もイメージしやすくなりますし、データアナリスト側から働きかけもしやすくなるかもしれません。


そういう意味ではクロスセルやアップセルというのはドメイン知識の一種といっても良いのかもしれませんね。


マーケティングの領域だと他にもいろんなセオリーや取り組みがなされていると思います。


大学等で研究もされているので、行動経済学や心理学を活用したものが多いのではないかと思います。


そうしたセオリーや実際にそれを使った事例などを学ぶのも、より成果につながるデータ分析を行うためにはおすすめです。