データアナリストの需要

データサイエンティストとデータアナリストの違い


どちらも似たようなスキルを持っていたり、似たような業務を行っているので、完全に役割分担されるものではないように感じます。


ただ、私の経験の範囲内ではありますが、データサイエンティストを名乗る方はやはり専門性に自信があって、それを磨くことや活かすことに注力している人が多いような気がします。一方データアナリストの方は、専門性はあくまで手段であって、必要性があれば身に着けるが、それよりもビジネスやビジネス上の意思決定に如何に貢献できるかといったアウトプットを重視している人が多いように感じます。


よって、あえて言えばデータサイエンティストの方は統計学機械学習等の専門性がより高く、データアナリストの方はよりビジネスの現場に近いところで活躍しているといった違いなどはあるのかもしれません。


私自身元々大学等で統計学を学んできたといったバックグラウンドを持っているわけではなく、問題解決の手法として独学で学習してきたので、どちらかといえばデータアナリストのほうではあります。そして分析に関する諸々の知識的な面では専門性の高い方々のブログやWeb記事で学ばせてもらってきているので、そうした方々は尊敬しているとともに、一緒にワークすることでよりビジネスを推進していくことも可能かと思っています。そのため、どちらが上や下というものではなく、それぞれが両輪で活躍することで相乗効果も期待できるものと思います。


データアナリストの需要


現在は、データの整備や活用等でまだまだ課題を抱えた企業も多く、データサイエンティストだけでなく、データアナリストと銘打った求人もよく見かけるので、需要はそれなりにあると思われます。


ただ、転職市場では高待遇かと言われるとそれほどでもないかもしれません。データサイエンティストはまだ専門性の高さが待遇の高さにつながって評価されている部分もあって高い年収を最初に提示されることがあるかもしれませんが、データアナリストはビジネス上での成果重視なので、転職時というよりも転職後に良い結果を出せば評価が上がって年収等に反映されるということはあるかと思います。そういう意味では入社のハードルはそれほど高くないといえるかもしれません。


AI人材の育成


2019年になって、AI人材25万人を育成しようという記事が出ました。

www.nikkei.com


しかし2013年には既にデータサイエンティストが25万人不足しているという記事も出ていました。

www.nikkei.com


ということは、この6年ほどでは需要に対して供給の方があまり進んでいないということなので、今後もしばらくは需要が満たされることはない可能性が高いと思われます。


ただ、2013年は「データサイエンティスト」が不足となっていたのが、2019年は「AI人材」に呼び名が変わっています。両者のスキルセットはほぼ似たようなものなのであまり別物とは考えられていないようですが、後者は「AI」がついているので、より実用的なアウトプットをもたらしてくれることが期待されているように感じます。


ということは、データサイエンティストにさらにビジネスドメインの知識や企画・調整・交渉等のコミュニケーションスキルなどもより必要とされ、一層ハードルが上がってきたようにも感じられます。つまりこの6年でデータサイエンティストの不足も補えていないにも関わらず、さらに高度なスキルを備えた人材を25万人も育成するということは、普通に考えて非常に困難なことではないかと思います。


しかし一方で、「AI人材」とはデータサイエンティスト並みかそれ以上の高度なスキルを備えた人材のことだけを指すのではなく、今後生み出されるであろうAIの機能を新たに備えたプロダクトに様々な形で関わる人々全般のことも広義に含めているのであるとすると、必ずしもみなに高い専門性が必要にはならないので、それなりの数は確保できるということになるでしょう。特に製造業や情報産業にかかわる人々は、ほとんどがAI人材の候補となるのではないでしょうか。


そもそもAI人材を増やすというのはあくまで手段であり、今後様々な製品やサービスの競争力をつけ国内産業を強化することが目的と思われるので、25万人育成という文言はともかく、そのための環境を整えていくという意味では必要な取り組みなのだと思います。


データアナリストの将来性


単純作業やシステム化されやすい業務はAI化されていく傾向にあるので、いずれデータ分析業務も省力化され、単に業務をこなすだけであればそれほど高い専門性は必要なくなっていくことでしょう。そのため分析だけをするという専門職としての需要は減っていくと思われます。


そうした中では、AI化やツール開発としてのものづくりの方向性と、それらのツールの普及やAI人材を育成するためのトレーニングや啓蒙活動の方向性などの需要は新たに生まれてくることでしょう。他にも需要の兆候が見えればそれに対応できるよう、アンテナを高くしておくことや色んな選択肢を検討できる柔らかさも必要かもしれません。