データアナリストの丁稚奉公

新人や若手など経験のない人が、いきなりデータ分析の実務の仕事を任されることはあまりありません。


最近は学生時代にPythonの経験がある人も増えましたが、それでもいきなりデータ分析を担当するのは厳しいので、やはり最初は丁稚奉公しながら仕事を覚えていくことが必要と思われます。


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ではどのような仕事を最初にしていくことになるのでしょうか。


データの集計


まずは基本中の基本としてデータ集計スキルを身に着けてもらうのは必須でしょう。


その際はSQLPythonなどの言語の理解だけでなく、その企業で管理されているデータ仕様もきちんと理解しないと正しい集計ができないので、いち早く慣れるためにもデータ集計の仕事をたくさん任されることでしょう。


そうしたデータ仕様があまり整備されていない場合などは、その整理と共有などの管理の仕事も発生するかもしれません。


その企業のデータ量や担当範囲、また事前の集計言語の習得具合にもよるでしょうが、おおよそきちんとした集計ができるようになるまでには大体1か月~数か月くらいはかかるかと思います。


先輩のデータアナリストがきちんとコードレビューをしてくれたり、練習課題やよくある集計パターンのノウハウなどが豊富にあったりするとさらにスピードアップできるでしょう。(逆にいうとそうした環境がないと、本当に集計結果がこれで良いのか不安に思うことが多く、成長が遅れるかもしれません)


合わせて集計したレポートの報告も担当する場合が多いかと思いますので、BIツールやメールでの定期配信、エクセル作業などもできるようになる必要があると思います。


またこのときに、先輩アナリストの分析の仕事のやり方も覚えておかないと後々つらくなります。


データの分析


ある程度データ集計に不安がなくなってきたら、データ分析の仕事も任されるようになります。(いくつかの仮説の検証、KPI等の変動要因の調査など)


ただし、分析のやり方に関してはきちんと体系立てて教えてもらえるというのはあまりないと思うので、いきなり任されるとおそらく何をしたら良いのか途方に暮れるか、まったく的を外した分析をしてしまう可能性が高いでしょう。


分析のやり方も、これまでの先輩のやり方を真似たり、過去事例を調べるなどして徐々に慣れていく必要があります。


ただ、そもそも先輩やチームがノウハウが十分に貯められていない場合は、新たに開拓していかなければならないのでつらいことになります。


また過去のやり方を踏襲すれば事足りるという分析ばかりでもありません。


新たなテーマや応用も出てくるので、ビジネス目的を忘れず一貫性のある分析方針を立てられるか、論理的な分析設計を考えられるか、説得力のある結果の説明やプレゼンができるかといった分析のベースとなるスキルも高いレベルのものが求められるようになります。


ここは正直地頭の良さやセンスによって、一人前になるまでの期間は大きく変わる点です。


早い人ならいきなりできるようになる可能性もありますが、あまり適性のない人なら多分何年経験を積んでもそれなりのクオリティで留まったままというケースも不思議ではありません。(実際そうした人もたくさん見てきました)


データアナリストの番頭への道


データ分析がしっかりできるかどうかで、丁稚を卒業して番頭に出世できるかどうかが左右されます。


しかし、実はデータ活用しようとする企業はどんどん増えているので、データの集計の仕事もたくさん生まれています。


データ分析といういわばオーダーメイドの完成品だけでなく、量産品やあるいは材料などの商いもたくさん行われるようになっているのと、エンジニア不足も手伝ってかデータ集計スキルを持つ人自体も不足しているので、そうしたお店にも需要があります。


今後AI化が進む中でそうしたデータ集計のみを請け負う仕事がどうなっていくかは不明ですが、現時点ではデータ分析しなくても、依頼されたデータ集計だけでご飯を食べていくことは可能です。


ただし、当然データ集計スキルのみしかない人よりも、データ分析スキルやその他のデータ関連スキルも併せて持つ人の方が、今後の需要も高いでしょうし、仕事がなくなってしまう可能性も低くなります。収入も激増とまではいかなくても、収入アップのポジションにつける可能性も上がるでしょう。


ただデータ分析スキルにも適性があるので、無理にその分野に居続けるよりは、データ集計の効率化や低コスト化を磨いてそちらの市場の中で優位性をとっていく道や、コンサルやエンジニアの適性があればそちらの道に方向転換するのもありだと思います。


どのような職業でもそうだと思いますが、努力すればその分野で全員が一流になれるわけではないので、適性などを見極めながらどのお店の番頭を目指すかは皆悩み続けていくものだと思います。あわよくば色んな道が開拓されて、途中で路頭に迷う人が少なくなると良いですね。