データアナリストの倫理観

自分のミスへの対応の仕方


データアナリストはどれだけ優秀な人でも人間なので何らかのミスをした経験はあると思います。


ミスに気づいたときに、これまでどのような行動をとってきたでしょうか。


データ分析で最も多いミスはおそらくデータの集計ミスでしょう。


ミスが発覚するのは、後で他のデータとの兼ね合いで不整合等が起こったり、数字感覚のある人からおかしいと突っ込まれて気づくパターンが多いかと思います。


このときに素直に謝罪して再集計する人もいれば、言い訳をしたりごまかしたりする人もいます。(言い訳やごまかし方も多種多様ですね。。。)


またデータや分析結果を報告した後に、何らかのきっかけで気になって処理ロジックや定義を再確認して実は自分がミスしていたことに気づくというケースもあるかと思います。


他の人にミスが露見する前に自分で気づいた場合、自分からミスを報告して謝罪しリカバリーの動きに入る人もいれば、黙ったままの人もいます。


影響の大きいデータならともかく、他の人が気づく可能性が今後も低く影響も軽微なものであれば、黙ったままにしておくかこっそり修正しておくという人も意外と多いのではないでしょうか。


理想はいずれもミスをちゃんと認めてしかるべきリカバリ対応をとれるほうかと思いますが、皆が皆そうした行動をとれているかというと中々難しいのではないかと思います。


基本的にはミスを認めるが、影響度によっては隠蔽してしまうというケースバイケースということもありうるでしょう。


自分自身を省みても、全てのケースで素直にミスを認められてきたかというと必ずしもそうではなかったかもしれません。(特に若いとき)


こうした倫理観はどちらかといえば個人のパーソナリティに由来するものでしょうから、学習やスキルアップ等で簡単に醸成されるものではないかもしれません。


とはいえ放置していてもよい問題でもないでしょう。


特にリーダーという立場についていると、自分だけでなくチームの責任も負います。


自分のミスだけではなく、メンバーのミスの責任も負うことになります。


メンバーがミスを犯したときに、それを叱れば委縮させてさらに隠ぺい体質になってしまうかもしれないし、逆に叱らないことで甘えを生みミスの繰り返しにつながってしまうかもしれません。


どうマネジメントすべきかも問われます。


自分としてはミスの予防対策をとることはもちろんとして、メンバーがミスを犯してもその後どうすべきかとその影響がどれくらいのものなのかだけは最低限学んでもらいたくて、どんなものでも依頼者に一緒にきちんと謝りに行ってその後の対応を相談するようにしていましたが、果たしてこれも正しかったのか、どこまで効果があったのかは未だにわかりません。


データの利用許諾範囲に対する意識


またもうひとつ、倫理観については大きなテーマがあります。


それは活用して良いデータとそうでないデータとの区別をつけることです。


データ分析に携わっていると、やはり利用可能なデータはすべて扱いたいというのが本音かと思います。


できるだけ多くのデータを使うほうが、予測の精度を上げたり、今までわからなかったことが明らかになる可能性なども上がるかもしれないからです。


しかし、データは基本的に利用許諾の範囲外のことには利用できないので、どの案件においても必ずしも手元のデータが全て利用できるわけではありません。


この利用許諾に関しては、昨今個人情報保護法の改正等によってきちんとデータの提供元に明示して取得する方向になってきていますが、利用範囲の明示があまりきちんとなされないまま収集されたデータも色んなところに多数存在することでしょう。


あえて利用許諾範囲を無視してでもそのデータを利用するというアナリストはいないと思いますが(思いたいですが)、おそらく大丈夫だろうと安易に判断したり、確認等しないまま気づかずに使ってはいけないデータを使ってしまうということは十分起こり得ます。少し前に大きく話題になった事件もありましたね。


人によってこのあたりの意識の差は明確に存在します。そしてそれは各人の倫理観とも関連しているのではないかという気がしています。


もちろん気づかなかったからといって責任はないということはないので、利用者はきちんと扱うデータの利用許諾範囲も理解した上でデータ分析・活用を行うことが求められます。


これはデータアナリストに限らずデータに関わる全ての人に必要な意識ですね。


自社データはもちろんのこと、昨今は共同プロジェクトや企業間連携等で他社のデータを扱う機会も増えていると思われるので一層気を付けなければなりません。


場合によってはアナリストが利用許諾やデータの使用可否について法務等の専門家たちと相談する必要も出てくるかもしれませんね。(実際私は法務には結構よく相談に行ってました)