データがないときの分析方法

ビジネスにおいてどういったマーケットの顧客を狙うかは重要です。


自社の商品やサービスに関心を持ってくれる層がなるべく多く含まれるマーケットに絞って、マーケティング活動を行うほうが効率的です。


しかし、どのチャネルを使えばそうしたマーケットにリーチできるかどうかどうか、あらかじめ判別することはなかなか困難だったりします。


というのも未知の顧客のデータはまだ取得できていないので、彼らの趣味嗜好や自社サービスとの相性などはわからないのが通常だからです。


ではどのようにすれば良いのでしょうか。


以下では一事例としてヤフーの取り組みが紹介されています。


tech.nikkeibp.co.jp


Yahooショッピングにおいて新規客や来店頻度の低い客は購入履歴等のデータがそろっておらず、何をレコメンドすればよいか困っていたが、Yahoo検索のデータを掛け合わせて好みの商品を類推してレコメンドを行うことでクリック率が向上したという内容です。


あるサービスにおいては新規顧客(=未知の顧客)であっても、自社の他のサービスで既存客であれば、そのサービスのログデータを使って分析することが可能になります。


Yahooのように自前で検索エンジンとその履歴データを持っていなくても、特定の検索ワードで検索を行ったユーザに対して広告を表示させることのできる外部のDSPサービスなどは今では一般的に利用されているところも多いと思います。


また大きなメディア基盤を持つ企業などにおいて、彼らの顧客を履歴データ等からあらかじめセグメント化し、そのメディアに広告を出したい企業に対して、特定のセグメントでフィルタリングして広告を出稿できるサービスを提供しているところなども増えてきています。


任意のセグメントにリーチできるサービスを持つ外部のメディア企業とうまく連携するのもひとつの有効な方法でしょう。


ただ、そうした顧客を自社に呼び込むことができても、最終的に商品やサービスの購入に至らない場合も多くあります。


もちろん無作為に呼び込んだ顧客よりはコンバージョン率は高いかもしれませんが、どこかで離脱してしまう可能性もゼロではありません。


ECサイト等では、サイトに訪問したけど購入に至らなかった顧客であればそれまでの行動履歴のログデータが取得できていることが多いので、そのデータを活用して分析しているところも多いでしょう。


サイトのどこで離脱されやすいのか、サイトの導線に何か問題がなかったか、クリエイティブやキャッチコピーを変えればクリックを促すことができたのかなど、必要に応じて新たにA/Bテストを行うなどして検証することも多いと思います。


一方オフラインのビジネスを行っているところでは、購入に至っていない顧客のデータは通常取得できていないので、オンラインビジネスの企業よりもデータ取得に困っているところもあるかもしれません。


ただ彼らも同じく、一部のリアル店舗等で小規模の客を対象に実験を行うなど、テストマーケティングを実施して新商品やサービスの全店展開の予測を立てることもよく行われています。


データがなければ小規模顧客でABテストやテストマーケティングを行ってサンプルデータを取得し、分析するというのもよく行われる方法ですね。


基本的にはデータがなければあきらめるではなく、いかにデータを入手できるかを考えると道が拓けることがあると思います。


データアナリストとして、与えられたデータで分析するだけでなく、このようなデータがあれば新たに分析を進められるとならば、どうやってそのデータを取得できるかまで考えてそのための行動もできるようになると、より重宝されることでしょう。


また購入に至った顧客においても、いつどこでどの商品を購買したかというPOSデータだけでなく、プラスアルファのデータを取得できないか考えてみるのもおすすめです。


どんな検索ワードで流入した顧客なのか、比較検討したが購入しなかった商品は何か(カートから落とした商品、詳細表示した商品)、なぜその商品を購入したのか(アンケート)、どのようなタイプの商品を購入しやすいのか(高品質高価格/低品質低価格、パッケージ/単品、etc)などのデータがあると、さらに他の商品やサービスをレコメンドしたときの確度を上げることなども可能になってくるかもしれません。


あとついでに、データが不十分で購入客の特徴がなかなかつかみにくいとか、どのような商品・サービスを進めれば良いのか明らかにしにくい場合、逆の発想をしてみるのも効果的かもしれません。


データが不十分でも明らかに購入しない顧客あるいは購入されない商品ならば分析できるのであれば、それらをターゲットやレコメンドから外すというのもひとつのやり方です。


確度をあげるための絞り込みは、条件を追加するだけでなく、もし母数が一定であれば外れを削るというのも有効です。