DXとデータ分析人材の関係

デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めようとして、外部からそのための人材を採用しようとするとき、まずデータサイエンティストやデータエンジニアなどを求める動きがあるようです。


おそらく彼らデータ分析関連人材には、データを使って業務を効率化するとか、データを使って新たなサービスを開発するとか、そういったことを期待しているのではないかと思います。


しかし彼らは何らかのデータを予測する(その精度を上げる)とか、大規模データの管理基盤の開発・運用をするのが主な役割であったため、上記の期待に応えるにはおそらくアンマッチとなるでしょう。


もちろんDXを進める上でデータ分析関連人材の役割が明確に必要と分かっているならば彼らを求めることに問題はありませんが、どのような人材や役割が必要かも不明なままとりあえず人を採用してもアンマッチとなる可能性は高いでしょう。


またDXは通常業務の一環としてではなく複数部署を横断したプロジェクトチームが組まれることも多いので、それらを束ねるプロジェクトマネージャやコンサルタントが求められるケースもあります。


この場合もプロジェクトの目的が明確であり、関連部署との調整などが進んでいる状態なら、彼らは自らの知見を活かしてプロジェクトの推進に注力できると思われますが、そもそも目的や予算なども固まっていない状態でプロジェクトの立ち上げから任されるとなるとまたまたアンマッチが発生する可能性が高まります。


いっそのこと、DXについてそもそも何から始めればよいのか、どのように進めれば良いのか、企画から人材まで何もかもコンサルティングファーム等に丸投げするつもりで、彼らに提案を求めるところもあるかと思います。


そうしたコンサルファームやITベンダーからのDX関連の求人もよく見かけるので、やはりそうしたニーズもそれなりにあるのでしょう。


ちなみにコンサルファームなどに丸投げの提案を求めた際に、企画、体制、人材調達、予算見積もり、プロジェクト化、スケジュール、場合によっては現状調査やPoCなどが中身に含まれてくると思います。


事業会社の視点から見ると、上記と同じようなことを準備できる社内人材がいるなら外部に丸投げしなくてもよいわけです。


ただ、全体的なDX推進計画だけ作っても、いざプロジェクトが始まると現場との軋轢や摩擦等でうまく進まないというのはよく聞く話です。


DXともなると関わる部局が多くなるので、既存の業務やシステムとの兼ね合いをどうするかなどある程度細かいレベルでの現場との調整も多々踏まえた上で、最終的には全体最適の観点からの企画にまとめる必要があるのではないでしょうか。


そのため個々の業務のデジタル化の企画・設計などができる人材もチームに必要となると思います。


データ分析人材もデータ活用が進んでいる現場や、データの整備を進めようとしていた現場などでの経験はあると思われるので、そうした個々の業務レベルでのデジタル化のためにチームに入ってもらうこともありかと思います。


ただしあくまでも業務の企画や設計が本業ではないので、適所適材かというと微妙な気がします。


ただ、データ分析人材の中にはそうした企画や設計が得意な人もいます。


データに関わる職種が増えてきている昨今、差別化のために特定業務領域での経験が豊富であるとか、コンサルやPMの経験もあるとか、業務改革にまで関わった経験があるとか、データ分析プラスアルファの知見やキャリア構築に注力する人も増えてきているようです。


業務がデジタル化されるとデータがたくさん生まれることになるので、データ分析人材の活躍の場となる可能性は高いでしょう。


そのためデータ分析人材側としても、DXの推進やそのためのプロジェクトは全くの無関係ということはないと思います。


こんな業務データがあったらなあとか、こんなデータを業務に自動的にフィードバックできたらもっと効果的なのになあ、などと考えたことのある人はいないでしょうか。


DXプロジェクトに自ら関わっていくことででそれを実現できる方向に持っていけるかもしれないので、ある意味チャンスでもあります。


データをさらに活かす環境の構築につながる可能性はありますので、DXを主とした立場で推進していくのは厳しいでしょうが、積極的に関わりを持っていくことは良いのではないでしょうか。


データ分析プラスアルファのキャリアにつながる可能性もあるかもしれませんし。