顧客分析をやる前に必要なこと

顧客分析とは、基本的には以前の記事で紹介した通り、顧客をセグメントに分け、そのセグメント間の違いをデータで明らかにすることです。


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顧客分析を行うケースとは


では顧客分析を行う場面はどのようなときなのか?


例えば見込み客を初回購入客にしたい場合、見込み客から初回購入に至った顧客と、見込み客のままの顧客の違いを分析します。


もし前者の顧客に特徴的な行動などが見られた場合、それを後者の顧客にも促進させることで初回購入につながる可能性が上がる場合があります。


あるいは逆に初回購入につながりそうもない見込み客を見極めることで、不要な販促コストを削減するといったことも可能でしょう。


このように顧客との関係性を改善したい場合、既存顧客のデータから改善の前後のセグメントを分析してその違いを明らかにすることで、改善のためのヒントを見つけるのが顧客分析の一般的なやり方となります。


闇雲に顧客のデータを見て何か探そうとするのは非効率なのは言うまでもありませんが、もしそうした作業に陥ってしまいがちな場合は、その要因として顧客との関係性をきちんと整理できていないというのがよくある話です。


顧客との関係性の定義


顧客との関係性は、一般的には「潜在顧客」⇒「見込み客」⇒「新規客」といったように顧客化するまでの段階であったり、「一見客」⇒「リピート客」⇒「ロイヤル客」のように顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を最大化させるための顧客の成長段階で区分されることがよくあります。


CRMに注力している企業などではこうした段階で顧客を区分けして管理されているところも多いでしょう。


こうした区分を設定するのは、顧客区分ごとにニーズやペルソナイメージなどが異なっていたりするためです。


例えば顧客数を増やすための施策を行う際などに、顧客全体に一律の条件や特典で実施するよりも、こうした区分を使って対象ごとに適切な設定を行ったほうが、さらに高い効果を出すことも可能になったりします。


唐突ですが、ソーシャルゲームなどでは新しいボスキャラを1種類しか出さないとすると、それが強いボスならばヘビーユーザは満足できるかもしれませんが、ライトユーザは全く歯が立たずに楽しめません。弱いボスならばライトユーザは楽しめるかもしれませんが、ヘビーユーザは物足りないでしょう。弱いボスから強いボスまで様々なランクのユーザが楽しめるように設定されるのが通常です。


この区分は非常に大事です。


もしマス向け(顧客全体)の施策1種類しか実施しないのであれば、顧客のセグメント間の違いを明らかにする顧客分析は不要といってもいいのかもしれませんが、そうでないのであればこうした区分を設定しないまま顧客分析に取り組んでもあまり成果は得られません。


ダメな例としてよくあるのは、顧客のニーズ等の違いがあることを認識しないままマス向け施策を実施したにも関わらず、結果を分析するときになってなぜか顧客を詳細に区分してデータを見ようとするなど、ちぐはぐなことをやってしまうケースです。


こうしたケースにおける顧客の区分も、かなり適当に行われることが多いです。


先ほど紹介した「顧客化するまでの段階」や「顧客の成長段階」といった区分ではなく、単なる性年代別とか、新規客と既存客に分けるだけとか(既存客も詳細に設定したがる人が多いですね、準既存とか復活とか)、ありもののデータを使った区分がよく使われるようです。


ちなみにこうした適当な区分でデータを見て、もし仮に新規客がたくさん獲得できたということが発見できたとしても、なぜ新規客に響いたのか理由が特定できないので、基本的に再現性もなく次の施策にも活かせないということで特に意味のない発見だったというのもよく聞く話です。


目的が顧客との関係性の改善であるならば、顧客との関係性が現状どうなっていて、それがどのようになれば良いのかということを具体的に定義しなければなりません。それをデータで定量的に示すのが顧客分析の使い方となります。


そのために、当たり前ですが、分析官自身も自社の商品・サービスについてきちんと理解する必要があります。


顧客のどのような課題を解決するものなのか、それはいつどのように利用すれば効果が出るのか、それをどのような顧客にどのように伝えれば響くのか、また顧客はどのように認知するのか、競合との違いなどなど。


とりあえずデータを見てみようではなく、まずはいち顧客として商品・サービスを試して顧客を知る、そして多様な顧客の視点を学び、顧客との関係性を具体的に整理することから始めてみるのも良いかと思います。